映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「東京上空いらっしゃいませ」感想(ツイッターより再掲)

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東京上空いらっしゃいませ、みた。超絶大傑作。事故死したはずのキャンペーンガールのユウがマネージャーの家に転がり込み…。相米作品の魅力は一つひとつの場面の美しさにあると思う。生きてることを確かめるように影を追いかける二人、結婚式の二次会で「帰れないふたり」を歌うユウ。鳥肌がたった。

牧瀬里穂がとても可愛い!ドタバタと動き回るおてんば感。あいかわらず相米の目線にロリコン趣味を感じるが…。長回しで彼女の躍動を捉える。超雑にハンバーガーつくる厨房のシーンとか、川越で幼なじみに「たくましくなった」と声をかけるところとか、どれを切り取ってもみずみずしい。

先に挙げたふたつの場面は本当にゾクゾクした。スクリーンで見られたことが幸せ。ストーリー自体は大したことないんだけど。映画のおもしろさを改めて実感。けど、あの篆刻の場面の安っぽさはどうにかならないのか。

「勇者たちの休息」感想(ツイッターより再掲)

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勇者たちの休息、みた。年に一度、アルプスを越えてニースまで向かう自転車愛好者のグループを追ったドキュメンタリー。自転車はひとりだけの空間だ。汗だくになりながら坂を登り、牛の糞を踏みはね飛ばし、吹雪の中を突き走る間、そこには完全な自由がある。張りのない男の肌に染みた日焼け跡が強烈。

カメラはひたすらフィリップを後ろから捉える。画面の中にぽつりとひとり。孤独だが心満たされる戦い。荒々しい自然の中を行く。きっと苦しいだろうけど、あの景色を走れるなら病みつきだろうな。引き出しが少ないのが恥ずかしいけど、思い出したのは高坂希太郎監督「茄子 アンダルシアの夏」だ。

「風立ちぬ」感想(ツイッターより再掲)

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風立ちぬ、みた。傑作。大正から昭和、大震災と太平洋戦争。生きているってすばらしいと心から思える瞬間と、愛する者が空の彼方へと消えていく残酷な現実。菜穂子と手をつなぐ喜びも、ゼロ戦が大空をのびのびと飛ぶ興奮も、すべて儚く消えていく。それでも人生は美しい。生きなくてはならないのです。

たとえ愛した妻がふらっと山の奥へ消えたとしても、心血と愛情を注いで設計したゼロ戦が人殺しの道具になり、ついには一機も帰ってこなかったとしても、二郎は生きなければならない。彼の人生にはたしかに美しい瞬間があった。菜穂子と出会った花咲く野原に吹く風、夢に見た飛行機が目の前で飛ぶ喜び。

この説得力はやはりアニメーションでしか生み出し得ない。画面中を埋め尽くす人の群れのダイナミズムや、汽車が草原を駆け抜ける爽快感、寝室で夫婦ふたり手を握る静かな幸せ。一つひとつの場面で感じた喜びがずーっと心に残る。だから残酷な終わり方でも、美しいものに触れた感覚が心に留まり続ける。

「7月の物語」感想(ツイッターより再掲)

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7月の物語、みた。超絶大傑作。短い夏のバカンスにふたりの女は友情を育み、ハンネはほろ苦い挫折とともにフランスを去る。退屈な日常やしがらみと裏表の休日。予期せぬ出会いと交感、他愛ないやり取りから静かに動いていく物語。バカな男たちを笑っていると、突然現実が転がり込んでくる。複雑な味。

第一部は昨日たまたま見た「緑の光線」のよう。男を漁る友人と、消極的な主人公。はじめ相手の名前すらおぼつかなかったふたりが、大したことは起こらないけれど、徐々に距離を詰めていく。街灯の下を一緒に歩き、電車では隣どうし(そういえば冒頭では向かい合わせだった)になる。かすかな変化。

第二部のイタリア男がめちゃくちゃ笑える。冒頭のマスターベーションから始まり、庭先での激昂、ベランダやベッド脇での会話にいたるまで。そして共用スペースでの食事とダンスにユートピア的な空気が広がる。そこになだれ込む現実。早朝の空気もすばらしい。細かな所作や動線に惹かれるものを感じた。

「ユニコーン・ストア」感想(ツイッターより再掲)

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ユニコーン・ストア、みた。大人の世界になじめない、ユニコーンと会うことを夢見るキット。親からの期待にも答えられず、他人を失望させてばかりの自分。どうにも上手くいなくて、頭の中をよぎるのは子どもの頃思い描いていた世界。一歩踏み出すカギは、自分を受け入れること。あたたかい映画でした。

キットという女性はなかなかに独創的な感性の持ち主で、すぐに「普通」からはみ出てしまう。だからすぐ外の世界とぶつかっては反発し、居場所を失ってしまうのだ。そんな中で出会うセールスマンとヴァージル。ふたりはキットの輪郭をあぶり出していく。

キットの両親が開くあやしげな集会。「真実の話」をした後、ぶつかり合う親子の会話から見え隠れするユニコーンの意味。キットに投げかける父の言葉が印象的だった。全体的にテンポのずれた笑いで、少々抑揚に欠ける気もするが、ブリー・ラーソンの笑顔が華やかで明るい作品になっていた。

「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」感想(ツイッターより再掲)

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ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた、みた。音楽の道を諦めた父と、地元を離れる娘。二人の紡ぎだすハンドメイド感あふれるサウンド。音楽を通して、過去と未来に向き合っていく。ライブシーンの多幸感よ!それぞれの人生を選択する清々しさに浸る。面白かったが、パンチに欠ける印象も。

「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜」感想(ツイッターより再掲)

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WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜、みた。ダメ男が田舎の林業に飛び込む。ひとりの人間が自分の進む道を見つけるお話としても、お仕事映画としても面白い。何百年も先を見据えた職人の姿勢、葉や土の匂いに囲まれた暮らしの気持ち良さ!カネと時間に追われる都会のせせこましさから離れた日常は癒しだ。