映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「未亡人」感想

未亡人、みた。芸術のため童貞を貫いてきた美大生。しかし、そんな彼を「面白い」と受け止める周囲の人間にも変化が生じていて…。十字架担いでチンピラにバイト代スラれるヴィア・ドロローサ。恋人できた友人をユダと罵る彼の生態=イエスの道程は楽しいが、…

「MOTHERS」感想

MOTHERS、みた。生みの母、育ての母、いまの母。心身共に不安定な元ヤクザの父のもとで暮らす監督が、姉と共に三人の母と向き合い、家族の呪縛を清算するドキュメンタリー。超絶大傑作!短気で攻撃的ながら優しさも見せる父が憎めない。ファミリーヒストリー…

「頭痛が痛い」感想

頭痛が痛い、みた。優等生と不登校。「死にたい」を抱えるふたりの少女が、ひょんなことから心を通わせ、やがて逃避行を計画するが…。禍々しく映される建設途中の新国立競技場と足を絡ませ合うラブホテルのベッドの温度差!共感と断絶を行き来するこの質感は…

「もとめたせい」感想

もとめたせい、みた。ある日突然同級生の男子に「ブラジャーを着けてみたい」と打ち明けられた相川は…。フェティッシュな秘密を共有する中で芽生える気持ち、一方、男子の無邪気な願望は期せずして相川に社会の抑圧を気付かせることになる。無残に切り刻まれ…

「へんしんっ!」感想

へんしんっ!みた。PFF2020グランプリ。自らも電動車いすを使う石田監督が障がい者の表現の可能性を探るドキュメンタリー。健常者と障がい者の壁、そして障がい者どうしの壁。振付師の砂連尾理に導かれながら、表現を通じ自らの身体性を受け入れていく。ラス…

「みをつくし料理帖」感想

みをつくし料理帖、みた。大洪水で生き別れた幼なじみの二人。数年後、澪は江戸で評判の料理人に、一方の野江は吉原の花魁として頂点を極めていたが…。奈緒の儚げな美しさ!彼女は命削って輝いてるんだ。面白かったけど近くて遠い吉原の幼なじみの話なら「居…

「望み」感想

望み、面白かった。行方不明の息子にリンチ殺人の嫌疑が掛けられた家族。息子は加害者か、被害者か。絶対に犯人ではないと信じる父と、加害者でいいから生きていててほしいと願う母。こういうサスペンスを定期的に見たい。野木亜紀子が一話完結ドラマで書い…

「シカゴ7裁判」感想

シカゴ7裁判、みた。ベトナム戦争下のアメリカを舞台に、理不尽な裁判を戦う反戦活動家を描いた実録モノ。この手の映画を撮らせたらA・ソーキンの右に出る者はいないな…。有罪ありきで裁判を進める判事にいろんな人物の姿を重ねたくなる。7人の男たちが決し…

「アイヌモシリ」感想

アイヌモシリ、みた。現代のアイヌ民族の生き様を阿寒湖畔に暮らす少年の視点から描く。キャストは全員アイヌ。アイヌ語の独特ながら耳馴染みのいい響き、鉢の火が跳ね、鉋で木が削れる音、カムイの森に積もる雪も優しく輝く。この雄大な自然が、神様が、そ…

「スパイの妻 劇場版」感想

スパイの妻、みた。スパイ疑惑の夫と幼なじみの憲兵の間で揺れる妻を描くポリティカルスリラー。3人の思惑が複雑に絡みながら流転する展開は濱口竜介テイスト。高橋一生の品のある胡散臭さ、東出昌大の人外感はさすが黒沢清演出。広げた風呂敷に比べてミニマ…

「異端の鳥」感想

異端の鳥、みた。色分けされて群に放たれた鳥のように、ユダヤ人というラベリングによって除け者にされる少年。動物虐待、レイプ、監禁、殺人…普通の人々の醜さよ。一方で侵略してきた外国の軍隊は規律が取れているという皮肉。地獄のような光景なのに、モノ…

「星の子」感想

星の子、みた。あやしい宗教にのめり込む両親に育てられたちひろ。病弱だった自分がいま生きていることが信仰の証という残酷さ。芦田愛菜ってスクリーンを支配するスターではないが、一対一の距離感で感情のひだまで直接観客に届けてくれるような繊細さを持…

「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」感想

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ、みた。眠すぎて前半は意識が飛んでたが、サンフランシスコの街並み、日差し、時代に取り残されても力強く生きる人びとの顔が印象的な映画だった。一応物語の中心はジミーだけど、本当の意味での主人公は変わり…

「本気のしるし 劇場版」感想

本気のしるし 劇場版、大傑作!自覚なく他人を振り回す浮世と、破滅を予感しながら彼女にのめり込む辻。無私の愛でも、肉欲でもなければ、単なる火遊びでもない。常に不合理で、まわりにこんなに極端な人間いるか?と問われたら答えはもちろんNO。でも、この…

「河内山宗俊」感想

河内山宗俊、みた。甘酒屋のお浪を救うため男たちが立ち上がる!チャンバラの末に打ち解ける宗俊と市之丞の気持ちよさ、あれよあれよと転がるコミカルな物語はやがてそのまま悲劇的なラストへの加速していく。怒涛の後半の転調が素晴らしく、逃げ回る三人を…

「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」感想

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ、面白かった。羽田空港に出現したガイラの異物感、人を喰らい服だけ吐き捨てる気持ち悪さ、夜の丸の内の戦闘の緊張感など見どころたくさんあった。学者と自衛隊のタッグは「シン・ゴジラ」に繋がるのか。オチは作…

「おカネの切れ目は恋のはじまり」感想

おカネの切れ目が恋のはじまり、全話みた。彼がそこに居ることで却って現実の「不在」を、逆に劇中そこに居ないことで、彼がまだ「生きている」ことを気づかせてくれるドラマだった。三浦春馬と松岡茉優のチャーミングさがたっぷり詰まっている。できれば、…

「キューポラのある街」感想

キューポラのある街、みた。いまやベッドタウンの川口だが、当時は荒川を挟んで貧困世帯も住む工業地帯だった。そんな土地でもがく若者たちの物語。高度成長期の格差、朝鮮人差別などアクチュアルな問題も描かれ、当時の生々しい空気感を知る。吉永小百合が…

「映像研には手を出すな!」感想

映像観には手を出すな!面白かった。乃木坂三人の掛け合いはずっと見ていられる。ロボ研と映像研の掛け合いはアニメ版でもあったが、不器用で無邪気なオタクたちの交感に期せずしてホロリとさせられる。完ぺきだった伊藤沙莉版とは違う解釈で輝きを見せる齋…

「眠る虫」感想

眠る虫、みた。謎の鼻歌に誘われたままバスに乗り込んだ佳那子は知らない街に迷い込み…。すべてが完ぺきとは行かないが面白い映画だった。生と死、終わりと始まりの境界の解体。過去・現在・未来が並行して存在する概念はA・ウィーラセタクン「ブンミおじさ…

「エマ、愛の罠」感想

エマ、愛の罠、みた。破綻した夫婦生活を送るダンサーが愛に奔放に生きる様を描く。G・ノエ「CLIMAX」のようなダンスは見応えあり。ただ宣伝で言うほど不道徳に感じず、むしろ彼女なりの支配への抵抗と愛の表現なのだと思った。行動の理由は分かりきっている…

「フェアウェル」感想

フェアウェル、みた。NY在住のビリーは中国に住む祖母が余命宣告を受けたと知り…。是枝裕和や山田洋次の名を挙げる人が多いのも納得。同じアジアながら日本とは異なる中国の家族観も興味深い。これが最後だと相手に隠して告げるお別れって、どんなものなのだ…

「マーティン・エデン」感想

マーティン・エデン、みた。貧しく無学な青年が上流階級のエレナと邂逅し文学に目覚めていくが…。ザラついたフィルムの質感、時折挿入される時代不明の回想、ポップな音楽。ディテールと抽象を行き来する不思議な映像に引き込まれる。夢を叶えても幸せになれ…

「ミッドナイトスワン」感想

ミッドナイトスワン、みた。新宿2丁目で踊り子・凪沙のもとに、育児放棄された親戚の子・一果がやって来て…。ふたりがバレエを通して心通わせて行く前半部分まではことしベスト。テーマ曲「Midnight Swan」のピアノ旋律の切なさ、転調後の力強さは最高。音楽…

「エノーラ・ホームズの事件簿」感想

エノーラ・ホームズの事件簿、面白かった!最高の夏休み映画。ミリー・ボビー・ブラウンが可愛い!これに尽きる。悪戯っぽく観客に語りかけ、大人の欺瞞に怒り、侯爵にほんのりと恋心を抱く。19世紀が舞台だが、花嫁学校がディストピアのように見えてきて面…

「半沢直樹(シーズン2)」感想

半沢直樹、面白かった。ホントに1クールのドラマかってぐらい詰め込んでるし濃い。もはやスパイラル編の記憶が薄れかけている。柄本明の妖怪じみたオーラが凄まじかったし、最後の大和田常務=香川照之の半沢への期待、尊敬、寂しさ、憎たらしさなど複雑な感…

「ヴィタリナ」感想

ヴィタリナ、みた。出稼ぎに行ったまま死んだ夫の部屋で暮らし始めたヴィタリナの物語。カラヴァッジオの絵画のように激烈なコントラストで魅せる。光の中に影があるというより、暗闇の中に陽が差しているかのようだ。一つひとつの絵が強すぎて物語にまで意…

「メイキング・オブ・モータウン」感想

メイキング・オブ・モータウン、大傑作!デトロイトの小さな一軒家から始まったレーベルがやがて世界の音楽シーンを塗り替えていく。数々の名曲を貴重な記録映像と共に鑑賞できるだけで大いに満足なのだが、スプリームスやジャクソン5に熱狂した当時の黒人の…

「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」感想

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人、みた。鄙びた漁村、抑圧される女性と子ども、相互監視のムラ社会…どこまでも自分勝手な大人たちの無様な姿に胸糞悪くなる映画だ。チョン・ジュリ「私の少女」やパク・ジョンボム「波高」を連想させる手触り。なかなかにどぎ…

「白夜」感想

白夜、みた。ロベール・ブレッソン版。撮る人が変わるだけでこんなにも変わるのか。ルキノ・ヴィスコンティ版より好き。静謐でどこか無機質な世界。ポン・ヌフの雑踏、セーヌ河を通る船から響く太鼓のリズム、テーブルの下で絡み合う男女の手の官能、繰り返…