映画狂凡人

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「この世界の片隅に」第1話 感想:すずさんの人生が実写化されて帰ってきた

こんにちは。じゅぺです。

今回は「この世界の片隅に」のドラマについて書きたいと思います。

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この世界の片隅に」はTBSの日曜21時「日曜劇場」枠で放送。この枠は「半沢直樹」や「下町ロケット」といった池井戸潤作品の実写化や、「ブラックペアン」のような権力闘争ドラマなど、おじさん受けを意識した作品が多いように思います。が、今回は「JIN」のような歴史モノ系の流れでしょうか。らしいチョイスだと思います。

主演は松本穂香。「恋は雨上がりのように」で主人公のバイト先の友人を演じています。コロコロ変わる表情が可愛くて、ぶっきらぼう小松菜奈のキャラクターとのコントラストが印象的でした。今回はおっとりした(そしてちょっと抜けた)すずさんを演じるということで、全然違う演技が見られそうです。そのほか脇を固めるキャストは、松坂桃李尾野真千子二階堂ふみ榮倉奈々など。サブのキャラクターはこれから深められていくはずなので、彼らに関してはまたその際にふれられればと思います。

この世界の片隅に」といえば、もちろん、2016年の秋に公開されたアニメ版でしょう。こうの史代原作の本作は、大傑作「マイマイ新子と千年の魔法」を撮った片渕須直が、苦難の末、6年間の歳月をかけて作り上げたことで有名です。資金集めにクラウドファンディングを活用したことでも話題を呼びました。

長い時間をかけて徹底したリサーチを行っただけあり、戦前の人びとの生活のディテールや実在感はかなりのレベルです。この作品は、当時の空気感や湿度を完全に再現することで、作中の世界から大日本帝国の破滅を知る現代の「目線」を排除しています。だからこそ、私たちは映画に没入し、すずさんの人生を通して、当時の人びとの生の感情に近づくことができるのでしょう。

そうなると今回のドラマ版「この世界の片隅に」で引っかかってくるのが、現代パートの存在です。正直、これからの展開次第なので、あまり決めつけはしたくないのですが…もし作中で視聴者の「目線」を提示してしまうのであれば、画面に描かれない余白や、すずさんの「その後」を想像する楽しみや醍醐味は失われてしまうんじゃないかなあと思います。

ちょっと否定的な前置きが長くなってしまいましたが、第1話自体は期待以上の面白さでした。原作のマンガやアニメ版をかなり忠実になぞっていると思います。呉や広島の景色もイメージ通り。こうして実写になっているのを見ると、やはり感動しますね。いちばんビックリしたのは、松本穂香のすずさんです。僕はアニメ版から入ったので、のんが演じたすずさんの残像がどうしても強くあるのですが、彼女の作り上げたすずさんは継承しつつ、しっかり松本穂香のすずさんになっているんじゃないかなあと思います。あのくりくりとした大きい瞳にものすごく説得力がある。なんだか無垢であどけない印象を与えます。それと同時に、激動の時代を乗り越える芯の太さ、まっすぐ先を見つめる力強さも感じられるのです。彼女のすずさんに一目惚れしたので、もう、これだけでドラマを見続ける理由になりますね。第1話の最後に顔見せしていた二階堂ふみのリンさんも楽しみ。アニメ版ではかなり省略されてしまった部分なので、ここの描きこみと、二階堂ふみのキャラ造形にも注目です。

そんなわけで、現代パートに不安は抱きつつも、全体的には期待している作品です。アニメ版も見返そうかな。