映画狂凡人

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「BLEACH」感想:もう「邦画にしてはアクションがいい」の時代は終わった

こんにちは。じゅぺです。

今回は話題作「BLEACH」について書きます。

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BLEACH」は、週刊少年ジャンプで連載されていた久保帯人の同名漫画を実写かした作品です。監督は「アイアムアヒーロー」や「いぬやしき」など漫画実写化映画の制作経験も豊富な佐藤信介監督。福士蒼汰杉咲花など売れっ子俳優を集め、満を持しての登場です。

漫画の実写映画化となると、もはやネットで炎上するのが当たり前になってきてしまいましたね。最近派手に燃えたところだと、「鋼の錬金術師」でしょうか。「進撃の巨人」や「ジョジョの奇妙な冒険」もそこそこ酷かった記憶があります。この手の話題は、はじめから叩いて面白いこと言ってやろうとか、見る気もないけど祭りだし面白いから批判しておこうみたいな手合いが多いのでうんざりしてしまいます。面白おかしく映画をいじるのも楽しみ方としてはありでしょうけど、最初からまじめに見る気がないのはねえ、と思わなくもないです。

で、漫画実写化作品が叩かれる際に毎回言われるのが、脚本の稚拙さ。これに関しては基本的に異論ないです。どの映画も説明過多で、だいぶ野暮ったい印象を与えます。もともと漫画では違和感のなかった説明セリフをそのまま実写に持ってきたら浮いてしまったり、長い原作を短くまとめようとして映像で語るのを放棄してしまう、という技術的な面や製作上の制約によるところは大いにあると思います。さらに、この手の映画は小中学生やふだん映画館に来ない人をターゲットにしているので、わかりやすさを最優先に作っているのも理由としては挙げられるでしょう。もっと観客を信じてほしい気もしますが。

あと、映像面でのチープさもよく指摘されます。これも製作上の都合というか、ハリウッド等に比べるとお金やノウハウ、技術は劣るのは否めないでしょう。日本人が演じる以上、コスプレ感が強くなってしまうのもなかなか避けられない問題です。これに関しては作品選びの段階で実現可能性は測れると思うんですけどね。「アイアムアヒーロー」とか「ヒメアノ〜ル」みたいな青年漫画は実写化向きですが、ジャンプのバトル漫画みたいな作品はやはり限界があります。僕はこういうチャレンジングな作品も好きですが、批評的にも興行的にも微妙な評価が続いている以上、もう少し慎重でもいい気はしまいます。

以上のような懸念に対する本作の評価ですが、やはり、脚本はあまり良くなかったと思います。終盤のアクションシーンに至るまで、ドラマ的に盛り上がるパートがほとんどない。説明セリフも非常に多く、映像で語ってくれないので、なにを見させられているんだろうかという気分になります。たとえば一護の家族関係とか、一護の気持ちとか、ぜんぶことばで言ってしまうんですよね。漫画では違和感なくても実写では陳腐に見えてしまいます。もともとBLEACHの原作漫画自体、臭いセリフ回しが特徴のようですが。ことばで説明してしまった時点で、そこに含まれていた感情のグラデーションは色あせ、失われてしまいます。そしてことばで説明できるレベルの単純な感情の動きなら、わざわざ映像にして見せる必要もないんじゃないかと思います。

映像面に関しては、ドラマパートの退屈さはともかくとして、アクションの満足度がとても高いです。特に一護が初めて死神代行として戦うことになる住宅地でのバトルシーンと、クライマックスの市街戦。前者のシーンは、住宅地の細い路地なので動きが少々窮屈ですが、縦方向の動きが面白い。そして、クライマックスでは一護が駅前ロータリーを自在に動き回って戦います。こちらは、佐藤信介監督の前作「いぬやしき」を想起させる「見覚えのあるいつもの景色」での大迫力の戦闘シーンになっています。アクションのつなぎ方、シークエンスもアイデア満載です(もしかしたら原作漫画の影響も大きいかもしれませんが)。特に一護と恋次がバスの上でチャンバラするシーンは見応えがありました。ちなみに一護とルキアの特訓シーンも面白かった。福士蒼汰杉咲花がきちんと自分でアクションしているんですよね。細かいカット割り等でスタントダブルであることを誤魔化すことはいくらでも可能だとは思いますが、ちゃんと本人が身体を張っているので、緊張感があるし、やはりリアリティが違います。邦画もこういうアクションの演出やVFXの質も向上しましたね。見慣れた日本の景色でハリウッド大作のような大空中戦が見られるようになり、とてもいい流れだなあと思います。「るろうに剣心」や「HiGH & LOW」のような作品がもっと増えたら、邦画もバラエティ豊かになりそうですよね。

というわけで、トータルで見ると満足度はそこそこという感じです。あのアクションシーンさえ楽しめれば、ストーリーや演出のアラに目をつぶっても、見て後悔するということはないんじゃないかなあと思います。