映画狂凡人

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「センセイ君主」感想:作品をつらぬく3つのルール

こんにちは。じゅぺです。

今回は「センセイ君主」について。

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センセイ君主」は同名マンガを原作としたラブコメディです。恋に恋する女子高生のさまるんを浜辺美波が、数学を愛するSっ気たっぷりのメガネ教師を竹内涼真が演じています。どちらもドラマに雑誌にCMに引っ張りだこ、いまをときめく人気俳優。ふたりとも好きな僕的にはご褒美のような作品です。監督は月川翔浜辺美波が鮮烈なデビューを飾った主演映画「君の膵臓をたべたい」でも監督を務めており、彼女とは2度目のタッグになります。

 

「君の膵臓をたべたい」

いきなり全然違う話から入りますが、僕は「君の膵臓をたべたい」が大好きです。劇場で2回見ました。浜辺美波目当てで。この映画のいいところは、浜辺美波を全力で可愛く撮っているところです。少女マンガやライトノベルを原作にした恋愛映画の監督でいうと、廣瀬隆一監督や三木孝浩監督が図抜けていて、旬の女優をみずみずしくフィルムに切り取ってくれるのですが、浜辺美波を撮る腕に関しては月川翔監督も負けていません。あまり知らないので適当なことは言えませんが、月川監督は音楽のPV等での経験も豊富なようです。だからなのか、白みがかった優しい光で対象を美しく撮ってくれている気がします。浜辺美波の透きとおった肌とちょっぴり弱々しい声が映像の質感にぴったりはまって、もはや神々しさすら感じさせる美しさを生み出しているのです。

そろそろ本題に戻しますが、つまり、浜辺美波と月川監督は相性バツグンなのだということ。それをこの「センセイ君主」を見て確信したのです。

 

浜辺美波の魅力全開!

「君の膵臓をたべたい」では物静かな文学少女といった風の浜辺美波でしたが、「センセイ君主」は真逆です。いつでもパワー全開。ヤクキメてんじゃないかってぐらいハイテンションです。特に前半のさまるんはすごい。10秒に一回変顔をします。少々見ていてキツイ部分もありましたが、これをやりきった浜辺美波は本当にすごいと思います。そして、恋のほんとうの苦さや喜びを知り、大人になったさまるん(ショートボブバージョン)の成長っぷり!ここでは元気だけど地に足ついた女の子です。落差がすごいですが、しっかり同一人物になっています。さすが役者さんです。

竹内涼真も良いSっぷりでした。まだ子どもっぽいあどけなさが残っていて可愛い。頼もしいときも、ちょっと抜けているときも、いじらしいときもある。いろんな表情を見せてくれるのが楽しいですね。僕のお気に入りはラストカットの照れ笑いをする弘光先生です。あれはずるい!あざといですね。

 

青春とは、まっすぐに生きること

そろそろ本題です。青春の定義は人それぞれですが、僕は青春を形作るもののひとつに「まっすぐに生きること」があるんじゃないかと思っています。大人になるにつれて妥協や諦めが増えてくるんですよね。それ自体悪いことではないし、人生落ち着くというのも大事なんでしょう。でも、高校生なんて「無限の可能性」があるじゃないですか。彼/彼女がどんな大人になるかなんて誰にもわからない。だからあまりはじめから限界を設定せずに、取り組んでみるというのは大事ですよね(自分はあまりそういうことができない人でしたが)。あまり先入観を持たずに、やりたいと思ったら手をつけてみて、可能性を広げていく。目標に向かってがむしゃらに頑張る。考えるより先に動く。周りの大人はそれを静かに支える。それが青春であり、青春時代なのだと思います。

さまるんと弘光先生がぶつかる壁はまさしくこの「まっすぐに生きること」です。弘光先生は、恋に恋しては当たって砕けるさまるんに「漫然と生きるのやめたら?」と吐き捨てます。これは数学者の夢を捨てた弘光先生本人にそのまま返ってくる言葉でもあるのですが、要するにふたりとも自分が欲しいものはわかっているのに、なかなか手に入らない、もしくは、諦める理由を探している。さまるんは「子ども」だし、先生は「大人」だけど、ふたりともそういう点で青春真っただ中です。人生の道を探してるんです。先生は「大人」だから口が上手くて、なんでも涼しくやり過ごしているように見えるけど、「まっすぐ生きて」ないんです。弘光先生の余裕に興味を持ち、「僕を落としてみてください」なんて言われて半ば復讐心からアプローチをかけるうちに本気で恋に落ちてしまったさまるんの方がよっぽど「まっすぐ」だし、潔い生き方をしています。何度くじけても立ち直って弘光先生と正面から向き合う。全然漫然と生きてなんかいませんね。最終的に弘光先生はさまるんのひたむきさに惚れ、逆にさまるんは「漫然と生きてる」弘光先生のズルさに気づいてしまうと同時に、彼の幸せを願って身を引きます。彼らはお互いに良い影響をおよぼしあい、「青春」を生きるのです。

これは結局「子ども」と「大人」の対比なんですよね。「恋は雨上がりのように」も同じ題材でしたけど、子どもと大人の相互作用というのがいちばんしっくりくる落とし所だなあと思います。

 

3つのルール

「幼なじみの恋は成就しない」と「愛しているがゆえに自分の幸せはわきに置いてでも相手を応援する」と「夢を追い続けたものは最後に幸せになる」。この3つは作品で一貫しているルールです。3つすべてに当てはまるのが主人公のさまるん、一方で「相手の幸せを考えて」と口先でさまるんを蹴落とし、「自分の幸せ」を優先してしまった紫門は弘光先生に振られ…といった風に、ルールから逸脱すると幸せなゴールにはたどり着けません。こういう軸がしっかりしたストーリーは、たとえ荒唐無稽なギャグが入っていても見やすいんですね。全体的に誠実で丁寧な印象を受けたのは、ストーリーの土台をちゃんと固めていたからではないかなあと思っています。もちろん最初に述べた月川演出もあるんですけど。期待に反していい映画でした。こっそりオススメしたくなる作品です。