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さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」感想:追う、逃げる、邪魔される

こんにちは。じゅぺです。

今回は「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」について。

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スパイ大作戦」を原作にした「ミッション:インポッシブル」のシリーズもついに6作目に突入。主演のトム・クルーズも50代になり、主要キャラはみんなおじさんおばさんになってしまいましたが、その勢いは衰えるどころか、むしろどんどん過激な方向に進んでいます。

 

トム・クルーズ 不死身のアクション

すでに2作目のイーサン・ハント登場シーンが生身で崖登りスタントに挑むトム・クルーズでしたが、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」でトムがブルジュ・ハリファ・クライミングに挑戦だしたあたりから期待とスタントのインフレが始まった気がします。6分間の潜水に挑んだり、離陸する飛行機にスーツでしがみついたり(しかもこれがオープニング…)、とんでもない撮影に挑み続けてきたトム・クルーズ。「フォールアウト」でもノーヘルでバイクにまたがってパリの大通りを逆走したり、自分でヘリコプターを操縦したり、いったいどこまで観客をヒヤヒヤさせたら気が済むんだってぐらい、異常なスタントシーンを披露しています。ほんとうに彼が命をかけて撮影に臨んでいることを知っているから、アクションシーンのたびに手汗でびたびたになってしまいましたよ。これはマジです。しかし、なにより感動したのは、イーサンがパリの街中を全速力で走り抜けるシーンですね。どんなに危険そうなアクションよりも、心動かされました。観客を驚かせ、楽しませることにすべてを捧げるトム・クルーズの熱いパッションを感じました。もう決して若くないのに、例の「トム・クルーズ走り」で、己の身体一つで、彼は世界中を沸かせてしまうんですよねえ。ちょっと本気でグッときてしまいました。

 

トム・クルーズ走り」

トム・クルーズの走り方って、どれだけ一生懸命でも上半身を垂直に立ててダッシュするので、変なフォームだなあと思ってたんですけど、今回で考えを改めました。たしかにふつうの人はしない走り方ですが、だからこそ、イーサン・ハント=トム・クルーズの「超人」さが強調されるんですね。トム・クルーズだから、あの走り方で誰よりも速く走れる。まさしく「超人」です。

 

セリフも、BGMもない、究極のシンプル

面白いと思ったのが、ほんとうの見せ場には、もはやセリフもBGMもないんですよね。たとえば、例の「トイレの格闘」シーンとか、パリのカーチェイスとか、クライマックスのヘリコプターのシークエンスとか。余計な情報はそぎ落として、とてもシンプルに。ひたすら「動き」だけで見せています。この映画、ほとんど「イーサンが敵を追う」「イーサンが敵から逃げる」「イーサンに邪魔が入る」の3つの要素で構成されているわけですが、それだけで面白いんです。イーサン・ハントの全力の動きだけで物語をドライブしている。これはこれまでの5作の蓄積と、作品にメタ的に組み込まれているトム・クルーズのパブリックイメージがあってこそではないでしょうか。

 

二転三転するストーリーは、少々冗長な印象も受けましたが、イーサンの妻との関係など、これまでのシリーズの総決算的な内容にもなっていました。もう正直これがシリーズ最終作ですと言われても納得するぐらいの完成度ではないでしょうか。とはいっても、まだまだ続きそうですが。どうせなら、ぜひ、トム・クルーズが白髪のおじいさんになっても続けてほしいものです。