映画狂凡人

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「健康で文化的な最低限度の生活」第4話 感想:頑張らなくてもいいとき

こんにちは。じゅぺです。

きょうは「健活」第4話について。

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今回、えみるは脇役でしたね。彼女の同僚である七条にスポットライトが当たります。七条を演じるのは山田裕貴。彼って「気持ち悪いイケメン」を演じさせたらピカイチだと思います。「伊藤くん A to E」はなかなか強烈でした。「健活」の七条もねっとりしたマザコンを演じています。あの粘っこい声がいいんでしょうね。で、これまではそのマザコン設定のせいでネタキャラの漂っていた七条ですが、今回、彼がなぜマザコンなのかが明かされます。母子家庭だったんですね。女手ひとつで大事に一人前の大人まで育ててくれた母親に抱く感謝や誇りの気持ち。それがどうやら表に出すと親離れできていない幼稚な側面になってしまうようです。

そんな彼が担当するのは、激務と夫のDVでプライドも心もズタズタになったシングルマザー。「自分は生活保護を受け取るような人間ではない」という思いが、結果的に彼女の自立を妨げてしまっているようです。もっと頑張れるはずなんだという強迫観念が、彼女を徹底的に追い込みます。

演じるのは安達祐実。彼女、辛気臭い役ばかりやっていますね。もともと幸薄そうな顔してましたが、ここに加齢による疲れ感が加わり、(こんなこと言うと引かれそうですが)なんとも嗜虐心をくすぐられるような弱々しさと不幸オーラをまとっています。彼女もまた山田裕貴と同じように声に特徴があり、子どもっぽい印象を強めています。

話を戻します。七条くんは母子家庭で育ったので、シングルマザーの苦しみもわかっているつもりでいます。苦労の末に成功した人によくある話なのですが、「自分はできたんだからお前もできるはずだ。」という思考に陥ってしまうんですよね。悲しいことに、七条くんもこのパターン。しかし、挫折を繰り返してきたシングルマザーには「頑張れ!」のひと言がたいへん残酷に響きます。ここはかなり見ていて辛い場面でした。どちらの気持ちもわかるだけに。二人とも「頑張り」が空回りしてしまっているんですよね。そんな七条の姿を見かねて自らの家庭環境と経験を吐露する係長がカッコいい。田中圭のくたびれ感がセクシーです。

最終的に、七条が導き出した答えは「甘えていいんだよ」ということ。頑張ってるのにうまくいかない人に、「頑張れ!」の励ましは攻撃と同じです。責任感やプライドがある人ほど、たぶんこの言葉は鋭く刺さってしまうことでしょう。人によって「頑張り」のレベルは違います。どうしても力が出ないときだってあります。だから、もうダメだと思ったときは「頑張らなくていい」のだし、精いっぱい人に甘えればいいんです。頑張れるときに頑張ればいい。これって、そのまま「生活保護」の制度の精神にそのまま通じるんじゃないかと思います。みんな「生活保護」は「施し」であり「恥ずべきこと」だと思っているようですが、それは間違いです。もちろん条件はありますが、「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための、国民の権利です。甘えたいときは甘えればいい。なにかと「自己責任」の言葉を振りかざし、他人に厳しい世の中ですが、この考えはもっとみんなが持つべきだなあと思います。