映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「百日紅 Miss HOKUSAI」感想:お栄と江戸の生命力

こんにちは。じゅぺです。

今回は「百日紅 Miss HOKUSAI」について。

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Miss HOKUSAIことお栄が本作の主人公。お栄は北斎の娘で、偉大な父と同じようにすばらしい絵画を残しました。残念ながら現存する作品はそれほど多くないようですが、北斎の浮世絵にもアシスタントとしてかなり関わっていたことは事実のようです。

百日紅」はそんなお栄の日常を鮮やかに、かつ、地に足ついたタッチで描くアニメーション作品です。監督は原恵一。劇場版クレヨンしんちゃんシリーズで数々の名作を世に送り出した名監督です。

この映画は、ご飯を食べたり、作業をしたり、何かをしながら見ていたので、細かいディテールや脚本について感想を練られるほど目を配っていなかったのですが、まず、江戸の街並みとそこで暮らす人びとのエネルギーには圧倒されました。本当にこの街に人びとが「生きている」んですよね。たとえば、冒頭の両国橋。行き交う人びと一人ひとりに表情があって、生活があって、人生があります。リアルな人間の営みが作り込まれていて、当時世界一だった100万人都市の奥深さを感じさせます。まるで当時の江戸を観光してあるきているような気分にもなりました。あと、いまの東京を知っていると、いろいろ比較してみても楽しいですよ。両国なんて今は隅田川沿いの一エリアでしかないですが、当時は流行の最先端を行く原宿と年配者の集まる巣鴨のどっちの要素も持った繁華街なんですから。これを見たあと江戸東京博物館で歴史を学んで隅田川散策なんてのも楽しそうです。

あと、不思議だったんですが、江戸とロックの相性もいいですね。エンディングで流れる椎名林檎のセルフカバー曲「最果てが見たい」も最高でした。

鑑賞後の余韻として残ったのは、清々しさでした。なぜだか元気が湧いてきたんですよ。僕には最初この感覚がわからなかったのですが、おそらく、それはお栄さんの生き様が清々しいからなんだと思います。毎日働いてご飯を食べるのって、今も昔も変わらないことなんですよね。偉大な父とゴミだらけの屋敷で絵を描き続け、外を出歩いては新しい発見を得る。離れて住む大切な妹のことを思う。そういう毎日を、地面を踏みしめながらきちんと生きている、そんなお栄さんに200年の時を超えて、元気をもらいました。

そういえば、「北斎漫画」も途中で放置してるので、続きを見なくちゃなあ。