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さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「アントマン&ワスプ」感想:二人のアントマンと二人のワスプ

こんにちは。じゅぺです。

今回はMCU最新作「アントマン&ワスプ」について。

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アントマン&ワスプ」はマーベル・シネマティック・ユニバース20作目の作品です。「アイアンマン」から始まったヒーローたちの壮大な神話もついに節目を迎えました。前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の衝撃から4ヶ月。あの破滅的なエンディングとスコットやルイスの雰囲気の整合性をどう取るんだろうと思っていましたが、時間軸を「インフィニティ・ウォー」より前に置いて、完全に「アントマン」シリーズの単独作として描いていましたね。おかげで気楽に楽しめました。

前作「アントマン」に比べても、すべてがゆるく、優しく、そして可愛くパワーアップしていました。大きくなったり小さくなったり、遊び心あふれるアクションは、流れるような軽やかさと華麗さが加わり、さらに見応えあるものになっていました。今回、時空をすり抜けるヴィラン・ゴーストが現れたことで、ギミックの面白さも加速していました。ただ、ミニチュアの街を全速力で走ったり、ネズミと戦ったりといった、絵本の世界のような発想の豊かさは失われていたと思います。「小さくなったらこんな風に世界は見えるんだ!」という驚きを感じる場面がなかったのは、ちょっと期待はずれです。しかし、クライマックスのカーチェイス、トラックの車内で自在に体のサイズを変え、ゴーストの妨害を交わすワスプのバトルはすごかったですね。さらっと見せてますが、非常に計算されたアクションになっていました。

また、時空を超えた夫婦愛と親子愛もウェットになりすぎず、しかし、待ち続けた時間の長さとハンクの一途さを感じさせて、ちょうどいい塩梅でした。「アントマン&ワスプ」が「スコット&ホープ」と「ハンク&ジャネット」のダブルミーニングになっているのも面白い。父と娘ではスコット&キャシーとハンク&ホープ、父と子の擬似親子関係ではハンク&スコットとビル&エイヴァ、共に父が科学に取り憑かれてしまった娘ではホープとエイヴァ、といった具合に、さまざまなレイヤーを重ねて「親子」を描いているのが「アントマン」シリーズの肝なんですね。

この映画のいいところは、やはりキャラクターにあると思います。出てくる人みんなとても親しみやすい。「友達になりたい」感ありますよね。もはやヴィランですら、根っこの部分では戦う動機も含めて共感できます。エイヴァはただ苦しみから逃れたいだけなんですよね。だから必死になるし、自分を邪魔するものを徹底的に排除しようとする。オリジンが少し雑な気もしましたが、戦う理由が切実でとてもいいキャラになっていました。

サンフランシスコ周辺でぜんぶが完結するこじんまりとした話だけど、事件は壮大。SFの味わいもありました。ポストクレジットのおまけ映像ではまさかの結末!「時間のもつれ」など気になるワードも飛び出しました。次は90年代を舞台に若き日のフューリーやコールソン、ロナンやコラスが登場する「キャプテン・マーベル」です。いよいよ「アベンジャーズ4」に向けて目が離せなくなってきましたね。