「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」:夭折の天才の大傑作
こんにちは。じゅぺです。
今回は「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」について。
「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」は1935年に公開の人情喜劇です。監督は山中貞雄。日中戦争に派兵されて遠い海の向こうで病死してしまった夭折の天才監督です。全編現存するのわずか3本ですが、本作はそのうちの1本。山中は26歳でこれを作ったというのだから、そのセンスに驚嘆してしまいます。
人情喜劇とあって、本作の魅力はやはり左膳たちのキャラクターです。やる気ないけどいざという時は決める左膳、愛嬌たっぷりの孤児、抜けっぷりが憎めない道場主。ユーモラスな愛に溢れています。みんな自分に甘いし、他人にも甘い。
お宝の奪い合いのわりにゆるーく弛緩した雰囲気ですが、天丼ネタも含めて編集のテンポとセンスが光ります。さりげない伏線の回収と緩急の効いた語り口。83年前にこんな素晴らしい邦画があったなぁと感動しました。発見の大傑作です。