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さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「銀魂2 掟は破るためにこそある」感想:ギャグとストーリーが分離した紙芝居

こんにちは。じゅぺです。

今回は「銀魂2 掟は破るためにこそある」について。

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銀魂」は(言わずもがなですが)ジャンプで連載されていた大人気コミックです。つい先日、完結?したそうですが、辞める辞める詐欺な感じもしており、今後の展開は謎です。僕はコミック自体は一切読んだことがありませんが、劇場版「銀魂」は見ました。ギャクマンガ原作だからこそ、実写化映画が陥りがちな嘘っぽさやチープさを逆手に取り、福田雄一イズムを加わえた軽妙なコメディ映画になっていましたね。原作に忠実とか、そうでもないとか、特に原作との比較では評価が分かれていますが、おおむね好意的に受け取る人が多かったのではないかと思います。

しかし、本作「銀魂2 掟は破るためにこそある」は、正直前作を下回ってしまったのではないかと思います。もともとコメディパートとシリアスパートのつながりが悪く、「ここ笑ってください」「ここでは泣いてください」の差が露骨だったのですが、本作はそれに拍車がかかっていて、相当くどいです。ギャグやアクションがストーリーラインから孤立してしまっているから、お笑いや戦闘が入るたびにお話が停滞してしまうんですよね。冒頭のキャバクラのくだりからの「将軍」ネタは長いわりにほとんど本筋と絡まず、いきなり作品への興味が損なわれます。導入部分からストーリーの方向づけや作品世界のルールの紹介を放棄してギャグに走るので、「この映画のゴールはなんなのか」「どこに向かって話が進むのか」がわからず、ひたすら退屈です。

そしてストーリーを動かすのは、すべて説明セリフと回想シーンです。クライマックスでは、「駅馬車」を意識したかのような西部劇的シチュエーションで戦闘が展開されており、画面的には動きがあって面白くなる余地もあったのですが、これストーリーの進行にはあまりうまく働いてないんですよね。新撰組が江戸からどんどん遠ざかってしまう、早くここで決着をつけて引き返さなければというリミットは設定されているのですが、そのわりにだらだらと近藤たちの「演説」が始まってしまい、ストーリーが弛緩してしまいます。本来こういうのは動きの中で語られるべきなのですが。背景は動いていても、人物の心の動きや状況の変化はすべてセリフで語られ、紙芝居のように緩急なく進むので、緊張感がありません。結構ひどかったと思います。

では、ギャグは面白のかというと、前作のようなパワフルさや驚きもなく、デッドプール」的なディープな喜びもなく、というわけで全体的に薄い印象の映画でした。ただ、新撰組の友情はなかなかに熱かったですね。今回の主人公は完全に伊藤先生と近藤でした。まあただ伊藤先生の孤独も全部後出しジャンケンの回想シーンで片付けてたので、あまり入り込めなかったのですが。まだまだ続編作りたいんだなと思わせるラストでしたので、3作目の進化に期待しましょう。