映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「用心棒」感想:三船のチャンバラに惚れる

こんにちは。じゅぺです。

今回は「用心棒」です。

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黒澤明は「七人の侍」「羅生門」「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」「生きる」あたりは見ました。「どですかでん」はつまらなくて途中でやめてしまいましたが。どれも出てくる人間の欲深さやその愚かさを身近に感じたり、どうしようもない人間のどうしようもないところを見ることができて好きです。

今回の「用心棒」は「椿三十郎」の前作的な立ち位置になっています。だって主人公の名前が「桑畑三十郎」ですから。悪事を見逃さない浪人の侍が、正義を成すために、訪れた先で住人を苦しめる悪党たちを裁く。勧善懲悪の時代劇になっています。

ストーリーはわりとシンプル。清兵衛と丑寅の騙し合いと、その間で手綱を引く三十郎。このトライアングルの中でなんども主導権が行き来し、最終的に一騎打ちまでもつれ込むという流れになっています。三十郎が明らかにバレたらヤバいウソをついて清兵衛と丑寅の戦いをかき乱すのが面白い(そしてやっぱりバレてヤバいことになる)。複雑になりそうなところをわかやすく交通整理した脚本と演出と編集がやはりすばらしいのだなと思います。

見どころはクライマックス。人っ子一人いないつむじ風の吹く大通り。じりじりと間合いを詰め、一気に戦いを制す。ここは観客先と地平線を揃えたカメラワークで、ぐーっと奥まで迫っていく画面の動きがとてもカッコいい。三船敏郎のチャンバラも、素早い動きながらどっしりとしていて、「人を殺している」重みが伝わってきます。しかしながら一方で、ただ殺すというわけでもなく、敵であろうと人間としての敬意は払うという、その一貫した姿に感動するわけです。僕個人としては「椿三十郎」より面白いのではないかと思っています。マストウォッチです。