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「実録外伝 大阪電撃作戦」感想:すべてを物語る松形弘樹の「目」

こんにちは。じゅぺです。

今回は「実録外伝 大阪電撃作戦」について。

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「実録外伝 大阪電撃作戦」はじっさいに山口組が大阪で起こした抗争・明友会事件をもとに作られたヤクザ映画です。いわゆる「東映ヤクザ映画」ですね。以前から気になってはいたのですが、このたび初めて見ることになりました。非常に面白かったです。

主演は松方弘樹渡瀬恒彦。お二人とも先日亡くなってしまいましたが、こちらは1976年の作品ですので、たいへんお若いです。泥っぽく、焦げた肌に雄々しい眉。カッと見開いた白目が、目を合わせたら襲い掛かってきそうなぐらい鋭く光ります。正直、めちゃくちゃ怖いです。野生の目をしています。キャラクターの通り「野良犬」の目です。しかし、松方弘樹の方はときに優しい目をします。信じた人間は絶対に裏切らない安田の義理堅さがにじみ出ています。また、梅宮辰夫も出演してますが、彼は当時から半端じゃない貫禄ですね。そして今も当時の迫力をそのままに残しているんじゃないかと思います。

ストーリーも、小さな事件が徐々に大きくなり、やがて大規模な陰謀と抗争に発展していく展開がスリリングでした。松方弘樹演じる安田と渡瀬恒彦演じる高山は、みずからは巨大組織の駒として動きながらも、やがて自らの野望や友情のために反旗を翻し、命の危険にさらされることになります。最初は反目していた安田と高山がやがてお互いの心意気に惚れあい、命を懸けて守りあっていくようになるさまは、ヤクザ映画のむせかえるような暑苦しさにあっても美しく、青春映画のような爽やかさを感じました。そして、彼らが組に追われる切迫感がすさまじかったです。集団でリンチしたり、ドラム缶に押し込んでコンクリートを流したり、とにかくヤクザの拷問がえぐいんですよ。だから二人のことを「逃げて!」と応援したくなってしまうんですね。

俳優の演技、ストーリーと触れてきましたが、ヤクザ映画とあって強烈なシーンが多いですね。安田であれば、酒池肉林の宴会でガンギマリの目をしながら踊る場面、それから、弁慶のように目を開けて立ったまま死ぬ場面。僕、松方弘樹の目の話ばかりしてますね。高山で言えば、興奮してビールのコップをかみ砕く場面でしょうか。先ほどあげたとおり、拷問もむごくて素晴らしいですね。強烈に印象に残りました。

「実録外伝 大阪電撃作戦」、とてもいい映画でした。これから少しずつ東映ヤクザ映画も掘っていければなと思います。