映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ジェーン・ドウの解剖」感想:完璧な造形美で魅了する死体

こんにちは。じゅぺです。

今回は「ジェーン・ドウの解剖」について。

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ジェーン・ドウの解剖」は、死体安置所で解剖医をしている親子が、正体不明の女性の死体の謎を調べるうちに不可思議な現象に巻き込まれていく密室ホラーです。公開当時から気にはなっていたのですが、ビビって劇場鑑賞は断念した作品です。最近ネットフリックスに追加されたのでPCの小さな画面で、目を細めながら見ました笑

ジェーン・ドウの解剖」の最大の魅力は、言うまでもなく、謎多き女性の死体、ジェーン・ドウでしょう。ジェーン・ドウとは、日本で言うところの「名無しの権兵衛」、もしくは「山田花子」あたりでしょうか。惨殺された夫婦の家の地下に埋まっていたということ以外、全く情報のない不思議な死体です。血の気のない青白い肌が美しく、そして滑らか。その「らしくなさ」が不気味で気持ち悪いです。しかし同時に、ムダな装飾を一切取り払った、生まれたままの人体の美しさも感じます。完璧に設計された骨と肉のバランスは、ずっと見ていたいような魅力を放っています。このあと解剖されるのでどんどんグロいことになっていくわけですが、それでも美しさは変わらないんですね。そこがまた不自然で恐ろしいところです。

やっぱり死体安置所って、怖いなあと思います。安らかには死ねなかった人たちの悔しさや怨念みたいなものを勝手に感じ取ってしまいます。おかげで最初から最後まで本当に怖い思いをしました。最近見たホラーの中ではいちばん辛かったですね。オバケやエイリアンが出てからよりもずっと身近な恐怖を感じてしまいます。

徐々に明らかになっていく事実と、親子を襲う不可解な現象は、そんな死体安置所の薄暗い雰囲気も相まって、相当に不気味でした。この映画の核心部分となるジェーン・ドウの秘密については、なんとなく予想のつくものでしたが、これを知るとなお彼女が魅力的に見えてきます。彼女が「死」の瞬間に感じた怒りや悔しさ、深い絶望を想像すると、いっそうこの死体が美しく思えてなりません。解剖シーンがグロくて慣れるまでしんどかったですが、なかなか不思議な面白さのある映画でした。