映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

【美術展】「ピエール・ボナール展」に行ってきました

こんにちは。じゅぺです。

いつも映画のレビューだと息切れしそうなので、たまには美術展のお話も書こうと思います。

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僕は美術には疎いのですが、時々暇つぶしに美術展に足を運んでいます。で、今回選んだのが国立新美術館で開催中の「ピエール・ボナール」展です。そもそもボナールの属するナビ派って何?というレベルの知識なのですが、なかなか楽しめました。ボナールは、対象を観察して一気に仕上げてしまうというよりは、たっぷりと時間をかけ、時には数年の歳月を費やして、画家のイマジネーションをキャンバスに塗り重ねていくタイプの芸術家らしいです。そのせいか、対象の細部や雰囲気を再現しているというより、そのモノや人に相対したとき、彼の脳内でどのようにイメージが膨らみ、内面に焼き付けられたのかを表現しているという印象を受けました。

気に入った作品を3つほど挙げます。

まず、「白い猫」。

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いかにも猫らしいふてぶてしい顔です。すらっとした長い脚から、そろりそろりと音もなく優雅に歩き進む猫の動きが鮮やかに想像されます。可愛い絵です。

こちらは、「大きな庭」。

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僕は単純なのででかい絵が好きです。これも2m×2mぐらいはあったかな、この画像以上に緑色が美しく、まるで宝石のようなまぶしさでした。こういう絵が家にあったら、いつ見ても穏やかに気持ちで暮らせそうだなあと妄想してしまいます。欲しいです(まず置く場所すらありませんが)。

最後に、「ボート遊び」。

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こちらは解説プレートに書いてあってなるほどと思ったのですが、この絵の中央の前に立ってみると、目線的にも奥行き的にも自分がボートに乗っている感覚になれるのです。空間の広がりすら絵で表現できるんですねえ。

いちおう映画ブログなので、映画に絡めた話をすると、これって映画のスクリーンの使い方に似ていると思います。たとえば「七人の侍」や「アラビアのロレンス」は、座席の観客の目線の高さがそのままスクリーンの中の地平線と同じ高さになるように映像が設計されたりしていて、じっさいに映画館で見るとものすごい効果があります。最近の作品だと「ダンケルク」の冒頭は同じ演出でしたね、敵軍の空爆を避けながら、必死に浜辺まで街中を駆け抜けるあの緊迫のシーンです。たしかファーストカットからそういう画面設計になっていました。ボナールの「ボート遊び」や「夏」など、大型の風景画はどれもこれらと同じような発想で描かれていると感じました。

12月17日までの開催なので、駆け込みだったのですが、思っていたよりすばらしい展示会でした。次は「ムンク展」でしょうか。気が向いたらまたレビュー記事にします!