映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「七つの会議」感想:豪華俳優陣のアンサンブル

こんにちは。じゅぺです!

きょうは原作・池井戸潤、主演・野村萬斎の「七つの会議」をご紹介します。

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「七つの会議」は、小さなパワハラ事件がやがて全社を揺るがす大事件に発展する様を描く企業サスペンスです。

 

ベタにベタを塗り重ねたストーリーと演出

ストーリーは最初から最後まで見たことあるような内容。池井戸潤作品はこれまで積極的には触れてこなかったのですが、正直僕の直感は正しかったのかなと思ってしまいます。お話の柱は単純明快な勧善懲悪ですし、お世辞にもディテール部分のひねりが効いているとは言えません。あまりにベタすぎる気がします。エンタメに振り切っているとはいえ…「これが…サラリーマンなのか…!!」みたいなセリフは直接言われてしまうと白けます。観客の感想を先取りしちゃダメですよね。ミステリー要素もヒントがわかりやすい分、原嶋たちの勘が悪いように見えてしまいました。ここらへんはギャグだと思って軽く捉えた方がストレスは少ないかもしれませんね。

また、基本的にオフィス内で話が進むから、ビジュアルも単調になりがちでした。合間に横浜観光や空撮が挟まるけど、あんまり効いてないかな〜と思います。「七つの会議」とあるぐらいなので、会議シーンの激しい応酬を期待していましたが、ほとんどそれは前半の営業と経理の小競り合いとクライマックスぐらい。そういう意味ではすべて予告編で想像していた範囲内、いや、むしろちょっとこじんまりしてたかな〜ぐらいに感じました。ガッカリ感は否めません。

 

豪華俳優陣のアンサンブル

とはいえ、見どころもありました。この映画の売りでもある豪華俳優陣です。野村萬斎香川照之片岡愛之助とスターおじさん俳優が大集結しています。シワとたるみと野太い声で魅せるんですねえ。しかし、冗長な長台詞とオーラーアクトのせいで、重厚さを通り越してコッテリな味わいになっています。やっぱりスクリーンのどアップで見るとおっさんのアブラで胃もたれします。テレビ画面ぐらいがちょうどいいかもしれません。

主演の野村萬斎は明らかに「うだつの上がらない中年」に止まらないオーラを放っていますが、画面の真ん中に立つだけで圧倒的に絵になってしまうんですね。すごい俳優です。引き笑いもほとんど不審者の域なのに、だんだん癖になってきます。でもやっぱりこの人は時代劇向きかな。

その他のキャストでいえば、香川照之は相変わらずの顔芸でした。顔のアップが多いのですが、さすがにスクリーンでテレビ的演出をされるとちょっとキツかった。及川光博は「相棒」の神戸くんを思い出します。ちょっぴり神経質っぽいところがいいですね。ミッチーはドアップでもギリギリ爽やかさ保ってます。

案外良かったのが、オリエンタルラジオの藤森慎吾。小物感が最高です。アンジャッシュ児島と一緒にきゃんきゃん吠えながら足蹴にされて泥まみれになる役をたくさんやってほしいなと思います笑

そして土屋太鳳、溝端淳平役所広司など、どうでもいいところに豪華キャストが登場します笑 彼らはこんな端役でいいのかなと無駄な心配をしてしまいました。

 

紅一点の朝倉あき

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そして何より朝倉あきです!彼女はもう素晴らしい存在感でした。僕の中では実質主役と言ってもいいぐらい。腹黒いおっさんだらけの体育会系昭和気質の社内で、唯一清涼感のある存在です。好奇心旺盛で「社内探偵」とでもいうべき大活躍を見せます。優しくて温かみのある声が癒しになっています。おっさんたちのしゃがれ声に合わせてか、ゆったりと落ち着きのある低めのトーンで話すので、耳にも馴染みやすかった。一発でファンになりました。

 

朝倉あきは「横道世之介」にも出ていましたが、どうやら1年間のブランクがありました。最近またブレイクしているようですね。なにかと不満の多い「七つの会議」でしたが、朝倉あきという女優に再会できたので、僕的には満足でした笑