「DESTINY 鎌倉ものがたり」感想：予告編の面白さを超えなかった作品

こんにちは。じゅぺです。

今回は「DESTINY 鎌倉ものがたり」について。

「DESTINY 鎌倉ものがたり」黄泉の世界に連れ去られた魂を取り戻す夫婦の物語です。宇多田ヒカルのうたう主題歌「あなた」の流れる予告編があまりに良かったので、きっと本編はこれを超えないだろうなと思いつつ、放置していた作品です。先日テレビ放送されていたので録画して見たのですが、この印象は正解でした。予告編がいちばん面白いです。

繰り返される男と女の運命や、クライマックスに象徴される「強欲」と「無欲」の戦いなど、散りばめられたテーマは非常に好きです。が、冗長で盛り上がりに欠けます。僕は予告編でてっきり冒頭から黄泉の世界で妻探しの旅をすると思っていたので、転調までの前半部分はひたすら退屈でした。堺雅人演じる正和と高畑充希演じる亜紀子のほのぼの夫婦間は最高だったので、日常系にするならそっちに振ってほしかったし、そうじゃないなら冒険をじっくり見たかったと思います。この世界観ならアニメでも…と考えたりもしますが、そっちには「千と千尋」という巨人がいるし、中途半端になってしまった印象です。

で、ノロノロお話を進めた挙句、終盤で急に壮大な話になるので、結局前半が平坦に見えてしまいます。どちらかというと連ドラやワンクールのアニメ向きの内容かもしれませんね。残念ながら黄泉の世界も広がりが感じられず。これを言っては酷だけど、「リメンバー・ミー」の素晴らしい映像美と比較してしまいます。衣装も映像も綺麗なのに、見せ方がうまくありません。これはきっと予算の問題もあったのでしょうが、だったら無理して尺伸ばす必要もないし、実写でやらなくてもよかったのではと思ってしまいます。

一つひとつのパーツはすごくいいのに、全体としてまとめてみると味気ない感じです。いい映画になりそうだったのに…というモヤモヤだけが残っていて、「アニメだったら」とか「連ドラだったら」とかいろいろ考えてしまいます。本当に残念です。エンドクレジットで「あなた」が流れると、なんだかいい映画を見たような気になってしまうのもムカつきます。ひさびさになにも残らない映画に出会ってしまったなという気持ちです。