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「キャプテン・マーベル」感想:あきらめずに立ち上がること

こんにちは。じゅぺです。

今回はマーベル・シネマティック・ユニバース最新作「キャプテン・マーベル」の感想です!

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キャプテン・マーベル」はアベンジャーズ誕生前の1995年を舞台に、これまで語られることのなかった「最初の宇宙人襲来」事件と、クリーの戦闘員だったキャロル・ダンヴァースが本当の自分の強さを知り、キャプテン・マーベルとして目覚めるまでを描いています。

 

マーベル・シネマティック・ユニバースミッシングリンク

アベンジャーズ」に代表されるマーベル・シネマティック・ユニバースの壮大な歴史において、1990年代はほとんど語られてこなかった「ミッシングリンク」でした。本シリーズにおいて最初のヒーローはキャプテン・アメリカで、時代は第二次世界大戦の1940年代でした。そのあと1950年代はスピンオフドラマ「エージェント・カーター」、1960年代は「アイアンマン2」過去パート、1970年代〜1980年代は「エージェント・オブ・シールド」や「アントマン」過去パート、2000年代からはご存知のとおり「アイアンマン」からしっかりと描かれています。MCU中のイベントで1990年代で起こったものなんて、ほぼスターク夫妻の暗殺ぐらいしかないわけですね。しかしこの時代はフューリーやコールソンなどシールドのベテランエージェントがまだ若手や中堅だった時代であり、掘ればいろいろ出てきそうな可能性に溢れていました。そして「アベンジャーズ エンド・ゲーム」直前の2019年3月、ついにこの時代の隠されていたベールが明かされるのです。

 

キャロル × フューリーの痛快バディ

ファンの間では「アベンジャーズ/エンドゲーム」前哨戦としての期待値が高かった「キャプテン・マーベル」ですが、ひとりのヒーローの誕生譚としてもクオリティの高い作品になっています。

僕的にツボだったのが、キャロル=キャプテン・マーベルとフューリーのバディの活躍です。気難しいオッサンという現在のイメージからはかけ離れた、気さくで冗談好きなフューリーと、クリー最強戦士の一人として荒々しく物事を解決していくキャロル。軽口叩きながらリズミカルに任務を進めていく様は90年代の映画のノリに近いかもしれません。それこそ「コマンドー」あたりのシュワちゃんに近いです(あれは1985年の作品ですが)。フューリーがそのまんま「あの頃のサミュエル・L・ジャクソン」なのも笑えます。これを違和感なくみれてしまう映像技術にも関心です。1フレームずつ修正したらしいですよ。相当な労力ですよね。

中でもお気に入りのシーンは、ペガサスの秘密基地から脱出するシークエンス。適度に肩の力の抜けたバカバカしさとテンポの良さは、往年のウェルメイドなアクション映画って感じがします。のちに新生シールドの長官になるコールソンも、すでにその正義感の強さとヒーローとしての片鱗を見せていて、ファンの一人としては嬉しいサービスです。本音を言うともっと活躍して欲しかったですけどね。

もうひとつ「エージェント・オブ・シールド」ファンでツボだったのがこの頃のシールドの雰囲気です。今ほどピリピリしてなくて、牧歌的ですらあるというところがなかなか面白い。冷戦が終わって大した任務もなかったんだろうなと思います。クリー/スクラル来襲にあたってあんまり役になっていない気もしますが、これも過渡期ゆえのことなのでしょうか。いろいろ妄想が膨らみます笑

 

あきらめずに立ち上がること

アベンジャーズ/エンドゲーム」の前哨戦として位置づけられる「キャプテン・マーベル」。あえてここで彼女が描かれる理由を考えたとき、キャロル・ダンヴァースの不屈の精神こそサノス逆転のカギなのではないかと気づきました。

キャロル・ダンヴァースは、「女だから」と我慢を強いられてきた悔しさをバネに、そして失われた過去を求めて、なんどでも立ち上がり、遠い空の向こうを目指す、とてもハートが強い人です。彼女がヒーローとして活躍できたのは、けっしてテッセラクトの光を浴びたからでもなければ、ヨン・ロッグの訓練の成果でもありません。あきらめず、試練があるたびに自分の足で立ち上がってきたからなのです。

このヒロイズムって、サノスに完全敗北した現代のアベンジャーズたちに最も必要とされているものなのではないかと思います。全宇宙の生命の半分が消滅した今、サノスの選択にNOを突きつけて「アベンジ」する力を持つのは彼らしかいません。だから彼らはあきらめちゃダメなんです。絶対に自分たちの足で立ち上がり、世界に平和を取り戻さなければなりません。サノスに敗北して抜け殻になってしまったアベンジャーズのメンバーに必要なのは「何度でも立ち上がる」キャロルのヒロイズムであり、彼女の存在なのだと思います。

ところで、ヨン・ロッグが繰り返し言う「感情を抑えろ」は世の女性たちへの抑圧の象徴であり、自分の力を信じて暴れまわるキャロルの姿は、まさしく「女性の解放」の言い換えでもありました。そしてこの「他人から限界を設けられること」と「辛くても踏ん張って自分の力を解放すること」は、女性だけに限らず、すべての人に当てはまる話でもあります。そこがまた単なる「女性ヒーロー」の枠にとどまらない、普遍的なおもしろさに繋がっているのだと思います。

 

キャロルの活躍に期待

それにしても、キャロルのお茶目でスマートなキャラにはベタ惚れでした!そもそもキャロル=ブリー・ラーソンのチャーミングさがこの映画の原動力と言えるでしょう。はじめは闘争心を燃やす戦士といった出で立ちだったけど、敵を知り、本当の自分に近づくうちに、徐々に表情にも柔らかさが出てくるんですよね。クールな時は徹底的にクールに。つねに逆境を笑い飛ばすような精神力の強さも、彼女の魅力です。

正直、こんなにいいキャラクターいるからもっと早く出してくれよ!と言いたくなるぐらい、キャロル/キャプテン・マーベルは最高でした。ただ、ソー以上に戦闘力は強いわりに、アクションはモッサリしていて(未熟なヒーローなので仕方ないかもしれませんが)物足りなかったです。ここらへんは「エンドゲーム」でルッソ兄弟が美味しく料理してくれるんでしょうかね。彼女がアベンジャーズの古参メンバーたちとどんなアンサンブルを見せてくれるのか楽しみで仕方ありません!