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「ULTRAMAN」感想:ウルトラマンネクサスの思い出

こんにちは。じゅぺです。

今回は「ULTRAMAN」について。

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ULTRAMAN」は2004年当時円谷が企画していた連動プロジェクトの第1弾として公開された劇場版作品です。「ウルトラマン」第1話の舞台を現代に置き換えて再解釈した内容になっています。この後に放送されたテレビシリーズ「ウルトラマンネクサス」と世界観を共有しており、最終回で両作が合流します。「ULTRAMAN 2」の製作も予定されていたそうですが、「ULTRAMAN」の興行成績不振や「ウルトラマンネクサス」の打ち切りにより、企画自体が消えてしまいました。

僕も「ウルトラマンネクサス」はリアルタイムで見ていました。低予算でなかなか怪獣も登場せず、ヒーローものとしては面白みに欠けるところがあったのですが、同じウルトラマンで変身する人が交代したり(そもそも主人公は変身できない)、主人公の恋人が死んで悪者に変身するトラウマ展開があったりと、新しいウルトラマンを作ろうという気概にあふれた作品で、当時子どもの僕もテレビにかじりついて見ていました。

なにより打ち切り決定(正確には放送クール短縮)後、予定されていた「ULTRAMAN」との合流を展開に入れるために、間のエピソードを端折った結果、ものすごくテンポが良くなって、めちゃくちゃ面白くなったんですよね。これまでノロノロ進んでいた分、駆け足になるぐらいがちょうどよかったのです。おかげで「ULTRAMAN」と合流する最終回もとても面白かったですし。怪我の功名といいますか、副作用ですよね。

僕も「ウルトラマンネクサス」にはハマっていたのですが、肝心の「ULTRAMAN」は当時チェックできていませんでした。15年越しにやっとこの作品を見ることができたというわけです。しかし、良くも悪くもシリーズの作風に沿った内容で「シン・ゴジラ」的な仮想SFを期待すると食い足りないなあという印象でした。自衛隊の協力による実機を使用した戦闘機描写は豪華でしたし、10メートル級サイズの戦闘など生命体っぽさを追求した特撮は見たことがない手触りの映像になっていて、非常に面白かったんですけどね。親子愛や夫婦愛がメインになっているところなんて、「平成ゴジラシリーズ」の薄っぺらいところをそのままなぞっている気がします。万人に受ける作品を目指すと、そうなってしまうのでしょうか。危機に立ち向かうお父さんと息子の和解なんて手垢のついたテーマなので、少しひねりが欲しいところです。

好意的に解釈すれば、あくまでこのお話は真木の父としての成長の物語です。すごく個人的なスケールで進むので、登場人物は必要最低限になっていると言えるでしょう。しかし、せっかくウルトラマンをリアル志向で解釈するなら、違う話にもできたはずだと思います。もっと重厚感のあるドラマが見たかったですね。未知の巨大生物が街に登場したことへの市民や政府の動揺は、もっとじっくり描いてもよかったと思います。

しかし、ウルトラマンとしてはやはり異質です。この後「ウルトラセブンX」という大人向けSF風の企画もありましたが、やっぱりコケました。なかなかウルトラマンとシリアス路線は噛み合わせが悪いのかもしれませんね。