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さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「人狼」感想:Netflixオリジナル映画の凡庸さ

こんにちは。じゅぺです。

今回は「人狼」について。

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人狼」は、押井守監督の同名映画の韓国版リメイク作品です。監督はキム・ジウン

押井守監督の作品も、キム・ジウン監督の作品もほとんど触れたことがないので、今回の「人狼」は完全に一本のオリジナル作品として見ていました。

南北統一運動で揺れる近未来の韓国を舞台に、特機隊と公安の攻防戦を描く本作。Netflixでの独占配信作品とのことで、以前レビューした「鋼鉄の雨」を思い出します。こちらも南北の緊張状態が頂点にまで達するポリティカルフィクションになっていました。「人狼」の下地も同様であると思います。韓国人にとってご近所との関わり方は非常に大きな問題であり、皮肉なことですが、これがすぐれたエンタテインメントを生む豊かな土壌にもなっているのでしょう。「新感染」も朝鮮戦争の記憶がベースになっている作品でしたが、こうした戦争の記憶や分断の苦しみといったテーマ選び、そしてそこに込められた今日性が、韓国映画を国際的な舞台で輝かせるひとつの要素になってすらいると思います。

しかし、「人狼」に限っては微妙な出来でした。やはりNetflix独占配信の映画って、いまのところ劇場でかからないだけあって物足りなさを感じる作品が多いです。まだまだ新作映画の主戦場は映画館なのかなと思ってしまいます。

雨のように降り注ぐ銃弾に、ジャンピング乗車。アクションはとてもよかったです。スーツのデザインもカッコいい。見せ方のレベルはとても高いなあと思います。

しかし、2時間20分という上映時間は少し長いし、ダレてしまっている気がします。主人公が愛に目覚め、獣としてではなく、人間として生きていくのだという選択をするまでがこの映画の肝になってくるわけですが、この手のテーマはそれなりに手垢が付いたものなので、なにか他と違うところがほしかったですね。どうやら押井守版とはオチが違うらしく、その改変部分でディテールが甘くなってしまったのかもしれません。2時間ぐらいでささっとまとめてくれていたら、もう少し軽くて見やすいエンタメになっていたと思うんですよね。

ちょっぴり文句が多くなってしまいました。Netflix映画には期待を裏切られっぱなしですが、12月に配信が始まるアンディ・サーキス監督の「モーグリ」はたのしみです。今度こそ、という気持ちですね。