映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ショウほど素敵な商売はない」感想:歌と踊りのショウビズ賛歌

こんにちは。じゅぺです。

今回は「ショウほど素敵な商売はない」です。

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「ショウほど素敵な商売はない」は、ドナヒュー一家の試練と家族愛を描くミュージカル映画です。「サウンド・オブ・ミュージック」とか「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」を思い出すような大河ドラマ的なスケールの歴史物語にもなっています。

ところでいきなり文句になってしまいますが、前半はあまり面白くありませんでした。ドナヒュー一家の巡業の旅を描くため、ひたすらステージの場面が続きます。あまりストーリーが動かず、歌を見せるだけ。すこし退屈に感じました。豪華なステージの様子も初めは楽しいんですが、代わり映えしないのでだんだん飽きがきます。映像自体は気合が入っていて、たぶんじっくり見せたかったんだろうと思いますが、ここはオミットすべき箇所でしょう。そういうのは映画ではなく舞台でやったほうがよろしいのではないかと思います。

マリリン・モンロー演じるビッキーが出てくる中盤以降、やっと話が転がり始めます。見ている分には楽しくても、やはりストーリーが伴わないと惹かれないものですね。

じつはマリリン・モンロー目当てで見たつもりだったのですが、彼女はDVDのパッケージになっているわりに存在感が薄く、いつのまにかミッツィ・ゲイナーの方に惚れていました。すらっと長い脚を活かした力強い踊りがすばらしいのです。

正直最後の方まで期待より微妙だったな〜と思っていましたけど、クライマックスのパフォーマンスで評価が逆転。5人で共に歩んできたこれまで長い道のりを想い、感慨深い気持ちになりました。浮き沈みの激しいショウビズを讃えるクライマックスの表題曲の祝祭感が晴れ晴れしい余韻を残します。それで誰の作曲だろうと思っていたら、アーヴィング・バーリンでした。さすがですね。

歌の力と演者のスター性に頼りすぎな感はあるも、これぞエンタメ、という感じがします。名作扱いされるほどかというと、個人的には?なのですが、ミッツィ・ゲイナーを発見できたのはよろこびです。

ちなみにタイトルの「ショウほど素敵な商売はない」という少々冗長な邦題は「ショウ」と「商売」で韻を踏んでいます。これは「There's No Business Like Show Business」という原題の「No Business」と「Show Business」にかけたものなんですね。なかなかに凝った訳で、ぎこちなく思えた訳も、意味に気づくと味わい深く感じられます。最近そういう凝った邦題って見かけない気がするんですが、気のせいでしょうか。