映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「皆殺しの天使」感想(ツイッターより再掲)

こんにちは。じゅぺです。

ツイッター上では映画の感想をつぶやいているのですが、最近時間がなくて記事の執筆に取り組めていません。一方で映画は見ているのでストックだけがどんどん溜まっていき…というわけで、しばらく、記事にまとめるまで至らなかった映画ツイートを転載してお茶を濁そうと思います笑

これからのブログ運営の仕方も考えていく必要がありますが…記事にまとめたい映画があれば、その時は気合いれて考察記事でも書ければと思っているので、引き続きよろしくお願いします!

というわけで今回は「皆殺しの天使」について。

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ある夜のブルジョワジーのパーティを舞台に、帰りたいのに見えない何かによって邸宅を出ることのできない理不尽を描く。上流階級の紳士淑女たちの理性は徐々に崩壊し、本能を剥き出しにしていく。俗世を徹底して悪意に満ちた目で見つめるサタイア。寓意をこねくり回すのも良いが、この混乱を楽しみたい。

ルイス・ブニュエルの思想やメキシコの歴史を知らないと読み解けない部分は多いかもしれない。彼らが屋敷から出られない理由は最後まで明かされない。群集心理のうねりがもたらした狂気か。男が女に「お前臭いな!」と躊躇なく吐き捨て、周りが「そんなの酷い!」「ここは冷静に」と揉める。笑える。

いい歳こいた大人が体臭で喧嘩する。さっきまでピアノの演奏を褒め合っていたあのお上品な空気はどこへ行った。最後はバイオリンを叩き壊して薪にし、庭から逃げ出した羊を屠って腹を満たす。そこに扉があるのに、外で見物人が待っているのに、彼らは堂々巡りから抜け出せないのだ。狂ってる。

反復のモチーフは、固定された階級への批判にも、賢しらだったウンチクで武装して自己満足する上流階級への悪意にも取れる。しかもこのループは紳士淑女の社交場だけでなく、信仰の場である教会にもやってくる。抜け出せない地獄。しかし教会の外にはもっと酷い現実が待っている。救いようがない。