映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「いちごの唄」感想(ツイッターより再掲)

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いちごの唄、みた。親友の死から10年、コウタは東京の街で偶然「天の川の女神」あーちゃんと出会い…。まるで練乳のように甘くて濃ゆい映画。ちょっぴり異物感のある青年は、全身からあふれる優しさと善意で、ひとりの女性の世界をささやかだが輝きのあるものに変えていく。さあ、自転車に乗ろう。

悪意のない世界を信じたくなる。インスパイア戻るとなった銀杏BOYZの世界観は正直よく知らないが、少なくともこの映画には、コウタの見る世界には、愛がたくさんある。困った人がいたら手を差し伸べる、右の頬を打たれたら左の頬も差し出すような人間だ。純粋なファンタジーである。

古館祐太郎の演技は初め(キャラクターへの違和感も含めて)けっこう不安だったのだが、彼なりの悩みも表出しはじめたあたりから人間臭さも増してきて、いい味わいになっていたと思う。石橋静河は「女神」だった。笑顔が切ない女優っていいと思う。「きみの鳥はうたえる」を連想させるカットもあった。

彼女を撮る人はみんなああいう見せ方をしたがるのだろうか?峯田和伸光石研、清原伽耶など助演陣も輝いていた。とくに良かったのは蒔田彩珠。生まれながらの「マセ顔」女優だと思うのだが、出番の少なさの割に存在感大きかった。あの細い手足がまたマンガチックで絵になります。

ここまでポジティブなことを言ってきたけど、脚本というかお話しの運び方は稚拙だった。いまいちパンチが効いてないんだよな〜と。「さよならくちびる」「ウィーアーリトルゾンビーズ」「小さな恋のうた」など音楽映画が豊作なので、もっと音楽の力を見せて欲しかったという気持ちは捨てきれない。

あと演出は致命的にダメだったと思う。夜のコンビニおでんのシーンなんて、なんでそんな貧相な絵にするんだ?と思ってしまった。映画館のスクリーンで見る映像ではない。照明も安っぽい。ラストシーンも良かったんだけど、撮る人上手かったらもっと響いたんだろうなと思ったり。そこはちょっと残念。