映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「僕の村は戦場だった」感想(ツイッターより再掲)

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僕の村は戦場だった、みた。ナチスにより両親を奪われ、復讐に燃える少年の物語。思わず目を背けたくなる過酷な運命。しかし、語り口はじつに厳格。光はときに優しく、ときに乱暴に世界を照らし、水は生と死の境をへだてる。寄りの絵が多いが、その分だけ力強く怒りや悲しみを抱え込んでいる気がした。

あいかわらず眠気を誘うテンポだが、この映像の美しさにはぐいぐい引き込まれてしまう。ところどころ挿入される、平和だったころの美しい記憶。一方、現実は薄暗くじめじめとした窓のない部屋、泥の降り注ぐ塹壕、爆撃によって破壊し尽くされた建物の廃墟…地獄のような光景だ。

しかし、それでもやっぱり「もっと見たい、感じたい」と思わせるパワーがこの映画にはある。この湿度と温かさはタルコフスキー作品にしか出せないのだろうか。ロシアの大地の空気って、きっとこうなのだろうという想像を刺激される。ものすごく感覚的だ。うとうとしながら見ても充実感がありました笑