「新聞記者」感想(ツイッターより再掲)
新聞記者、みた。国家に忠誠を誓う官僚と、真実を追い求める若手記者。現政権の数々の不祥事に着想を得たポリティカルスリラー。隠ぺい、圧力、公文書の改ざん….すべて現実でも起きている出来事。権力の犬として安寧を得れば満足か?子どもに誇りをもってこの国を託せるのか?無関心ではいられない。
やつれた松坂桃李って、激烈にセクシーですね。ひとりの組織人として理想を追求したい気持ちと、不正義を見過ごせない、ある意味では(多田のような)「大人」になりきれない少年のようなピュアさと。動揺や憔悴の演技もバリエーション豊か。国家運営の歯車として翻弄される様が虚しく切ない。
シム・ウンギョンも「シン・ゴジラ」でいえば石原さとみ的なトリッキーかつフィクショナルな役回りだが、堅実な演技で物語にリアリティを与えている。あの朴訥なしゃべり方に、簡単には組織に染まらない芯の強さを感じる。背景がややドラマチックすぎるのではないかと思わなくもないが、良いスパイス。
タイトルの通り、この映画は新聞記者の話である。あくまで「第四の権力」とも称されるマスコミの矜持、権力への監視がいかに重要か、というメッセージが前面に出ている。強権的な官邸からのクレームに屈する、腑抜けたマスコミへの叱咤激励でもある。受け手によって賛否は分かれるであろう。