映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「南瓜とマヨネーズ」感想(ツイッターより再掲)

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南瓜とマヨネーズ、みた。傑作。ヒモのバンドマンとキャバクラで生活費を稼ぐ女。台所にはゴミ袋が積まれ、ベッドのシーツはいつも皺だらけ。ダメなままでいられたら幸せなのに。閉塞感の中でもがき、いつまでも思い出にすがって未練たらたらで、なかなか前に進めない様が生々しい。苦しい映画だった。

セイちゃんが昔のバンド仲間と昼から飲む場面。口だけの軍師で、ろくに曲を書けもしない彼が、負け惜しみを撒き散らして、最後は絶望的な言葉を投げかけられる。あまりに惨めで泣きたくなった。それでもやっぱり他人に甘えてしまう。ダメだとわかっているのに抜け出せない地獄。

ツチダもまたそんなセイちゃんに依存している。いつまでも完成しない曲を待ち続けることが、彼女の幸せなのだ。彼女は言う、「セイちゃんが振ってくれたら楽なのに。ハギオはいつか私に飽きていなくなるし」と。前にも進まないし、後ろにも戻らない。自分で「選ぶ」ことで未練を残したくないのだ。

目の前で「好きだった人」が微笑んでいる。自分がいなくなった世界で幸せそうにしている。すごく傷つく。でも、一方でツチダはすこし安らかな表情を見せる。取り戻せない過去と後悔を、ズキズキ痛む心の傷としてそのまま受け止めている。肌に穴が開いて血が出たって、いつかはカサブタになる。

南瓜とマヨネーズ」って、とても不思議なタイトルだ。残念ながら映画本編には一切でてこない。これはそれぞれツチダとセイちゃんのことを指しているのだろうか、それとも二人の関係を示しているのだろうか。いろいろこねくりまわして考えてしまう。

たしかに、ふかした南瓜にマヨネーズを和えれば、美味しいサラダにはなるよなあ。相性いいはずなんだけど、「南瓜とマヨネーズ」の字面を見て思い浮かべるのは、ふかす前の身も皮も固い生の南瓜と、プラスチックの容器に詰まったマヨネーズ。横に並ぶのは違和感がある。

ほんとは和えれば美味しいのに、生のままだとさっぱりかみ合わなくて。二人の関係もそんな感じだったよね、というこじつけ。どうしよう、このタイトルが単に作者の好きな食べ物並べました!みたいな理由だったら。そう考えると恥ずかしいのでそろそろ寝る。