「凪待ち」感想(ツイッターより再掲)
凪待ち、大傑作。愛する女性を失ったギャンブル依存症の男の絶望と再生。競輪で有り金ぜんぶ溶かし、酒におぼれ、気づけば喧嘩で血まみれに。なんども同じ失敗を繰り返す自己嫌悪。地獄から抜け出せない。息苦しい。それでも、すべてを飲み込んだ東北の海がいまは凪いでいるように、彼の人生だって…。
海の底には人びとの生活の跡が沈んでいる。希望を持てば、誰かひとりでも見捨てずに寄り添ってくれれば。香取慎吾が最高の演技。黙ってそこにぼそっと突っ立ってるだけで、どうしようもない男だとわかる。なんども同じ失敗をしてまわりの人を傷つけてしまう。がっちりした体格と丸い肩のおっかなさよ。
リリー・フランキー、吉澤健、恒松祐里もすばらしい。みんな血の通った人間。醜いところも、美しいところも、すべてひっくるめてその人。スクリーンに映らない部分にも彼らの人生がある。けっして説明的ではないが、ことばの端々やしぐさに、そのでこぼこが表現されている。本当によかった。