映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ロケットマン」感想

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ロケットマン、みた。自己愛を求め彷徨うエルトン=レジーの物語。親の愛を受けられず、本当の自分を曝け出せない内気な青年が「なりたい自分」を演じる矛盾。破滅に向かう一方で派手になるパフォーマンス。完全に壊れてしまった心を押し込める道化のような衣装。あまりに痛々しくグロテスク。大傑作!

これぞ「人間まるだし」だと思う。いつまでも幼少期のトラウマから逃げられず、ダメだとわかっていても酒やドラッグに手を出し、傷つき続けるエルトン。徹底的に彼の抱えていたヘドロを吐き出す、恥部を隠さない伝記作品。すばらしい。そして唯一の癒しともいうべきバーニーとのブラザーフット。

一見カオスな演出から始まるオープニング。彼の音楽から飛び出すミュージカル。はじめはスターダムを駆け上がる彼の万能感を、やがては道を見失い、心身共に崩壊していく様を、華々しくも、どこか虚しく、空っぽな映像で見せる。そしてすべてを発散させるエンディング。彼にはまだ未来がある。