映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「旅路の果て」感想

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旅路の果て、超絶大傑作!元俳優たちが集う南仏の養老院。女を生贄に若さを保つサンクレール、妻を奪われ落ちぶれたマルニー、一度も舞台に立つことがなかった代役俳優のカブリサード。俳優は常にスポットライトも求めるわがままな生き物。失意と絶望の中でも演劇を愛した不器用なカブリサードに泣く。

今年の旧作ベストの1本かも。人生の舞台を降りた老人たち。もはや力もなく、場を奪われれば右往左往するしかない。老いとは、かくも残酷なことなのか。異常なまでのギラギラとした輝きを放つサンクレール、愚鈍さすら漂うカブリサードの対比、そして真ん中に静かに佇むマルニー。この関係がいい。

やはりいちばん気持ちが入るのがカブリサード。どうしようもない小者。これっぽっちも才能はないが、夢だけは大きく、周囲にも呆れられている。長い人生で一度も認められることなく、ただ舞台に立つことだけを考えていた男。それでも希望を捨てず、演劇への愛に生き続けた。マルニーの言葉が心に響く。