「第七の封印」感想
第七の封印、みた。十字軍から帰還した騎士と悪魔の対話。黒死病への恐怖で狂乱する民、磔刑に処される魔女、無知な旅芸人の家族…。生と死、神と悪魔の対立を象徴するかのように光と陰のコントラストが強烈。神は実在するのか?疑った瞬間、神はその人に微笑まなくなるのではないかと思う。傑作。
途中で寝かけて巻き戻したりしたので、正直掴みきれていないところはある。冒頭の岸での対話からなかなかシュールで躓くが、この映画の核心はなんだろう。自分には、騎士が神の存在を疑えば疑うほど、悩めば悩むほど、信仰は遠のき、逆に悪魔=死が近づいているように見えた。死は確実に訪れるのだ。
騎士の屋敷に集う人びとが悪魔の存在を認知したあの一瞬、時間が止まる。あまりの緊張感に自分の心臓の鼓動が早くなるのがわかった。あの場面はすごい。そして少女の「終わりなのね」。なぜだろう、命乞いをする男もいたが、悲しい最後には見えなかった。むしろ生の苦しみから解放される〈救い〉だ。
悪魔に連れられ、踊りを舞う死者たち。地上という地獄からの解放を祝福しているのだろうか。一方で、なぜ旅芸人の一家だけは救われたのだろうか。キリスト教に関する知識はほとんどない。ざっくりした理解だけど、キリスト教で大切なのは現世ではなく死後の世界、もっと言うと最後の審判、ですよね?
騎士たちが悪魔に連れられこの世を離れ、一方で旅芸人の一家は旅を続ける。自分にはこの映画が神の存在や信仰そのものに真正面から挑んでいるようにはどうしても見えない。じゃあ無垢に生きる民を称揚しているのか?というと、そう捉えたくもない。置き去りにされた感覚だけが残っている。
ぶっちゃけ、まだよくわからない。将来見直して理解できるのか、自分なりの解釈を練られるのかもわからない。ただ、久々にもやっとした感覚を味わえて、それはそれで楽しかった。この歯ざわりはそのまま大切にしたいと思う。