「楽園」感想
楽園、みた。Y字路で起きた少女失踪事件から始まる村の悲劇。社会から見捨てられ、居場所を失った人びと。どこかにわかりやすい悪人がいて、そいつを懲らしめて全てすっきり終わればいいけど、現実はそう簡単ではない。生きている限り絶望を背負い込まなければならないのだ。好みの映画ではなかった。
佐藤浩市の演技が評判いいけど、正直ちょっとコッテリしすぎかなあと思った。いろんな意味で「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを連想。綾野剛はこういう役もできるんですね。幅の広さに改めておどろく。窮屈そうな大人たちの中で唯一小柄で若い杉咲花が、軽やかに動いているように見えた。
村上虹郎えんじる田舎の青年の絶妙な気持ち悪さ。こういう勘違いした人、本当にいそうだ。いずれ消滅するこの村の停滞感や、流れに任せて「みんなの敵」を作り出してしまう愚かな村人には、大いに既視感を覚えた。結局のところ「楽園」はこの国の地獄みたいな現状のことなのであると思う。