「解放区」感想
解放区、みた。ドキュメンタリーを撮るべく釜ヶ崎を訪れたスヤマが、次第にこの土地の暗部に足を踏み入れ…。〈釜ヶ崎の現実〉を覗き見る。いくら綺麗事を並べてもそこには他人の生活にドラマを求め、土足で踏み荒して「語った」気になるナルシズムと軽薄さがつきまとう。どこまで自覚的なのだろうか。
スヤマの風貌や一部の言動が、大学生の頃のバイト先にいたおっさん(この人も映像制作会社の派遣をやっていた)そのままで笑ってしまったのだが。安っぽい夢をかかげ、そのわりにナイーブで傷つきやすく、大したことも成せずあっさり見捨てられてしまうあたり、生々しく感じる。そういう人いそう。
やはり単純に西成の風俗の描写がおもしろい。現金=日雇い労働を求める男たちが集うセンターが開く早朝、路傍には誰も拾わないゴミが散乱し、いたる所で炊き出しが行われている。「あいりん地区は助け合いの街だ」というが、彼らがここに住まざるを得ない社会の歪みは放置されたままだ。