「CLIMAX クライマックス」感想
CLIMAX クライマックス、みた。爆音で流れる重低音、揺れる筋肉、窓のないダンスホール。ダンサーたちの狂宴は、サングリアに盛られたLSDによって一転、地獄の飲み会に…。その場にいるかのように錯覚するOPの長回しは圧巻!途中から退屈でひたすら帰りたくなったが、これもまた〈映画体験〉なのか…。
やはり掴みの長回しはすばらしい。どうやって撮っているのか、カメラや録音の位置は?と思うと、さっぱりわからない。激しく動くダンサーの身体を見ているうちに、彼らが人間ではなく、ただの肉の塊のように錯覚してしまった。ドラッグによって集団トランス状態になった時、その感覚は確信に変わる。
ただ中盤のドラックの回って以降の狂乱は、前半の強度に負け気味だったと思う。それでも、ぐわんぐわんと揺れるカメラ、さらけ出されるダンサーたちの欲望と怒りと不満、誰にもコントロールできない集団のダイナミズム…退屈であるがゆえに、それはリアルな体験になる。映画館が牢獄になるのだ。
だから俺がこの映画を見て「早く帰りてえ」となったのは、正しいことなのだったと思っています。あんな飲み会さっさと去りたいよ。でも、外は吹雪だから。最悪ですね、完全に地獄だ。面白い映画ではなかったが、興味深い体験ではあった。