映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「テルアビブ・オン・ファイア」感想

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テルアビブ・オン・ファイア、良作!人気ドラマの脚本家が結末をめぐって検問所の主任とトラブルになり…。複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアを交えて描く。あっちを押してもダメ、こっちを引いてもダメ。八方ふさがりのサラムの状況は、この国の現実。でも、たくさん笑って最後は温かい気持ちに。

脚本家見習いのサラムはいつもぼけーっとして、ふらふらと流されているうちに、いつのまにかとても奇妙な事態に巻き込まれてしまう。そこは否定しとけよ!とか、ちゃんと説明しなよって思うところもたくさんあったけれど。決めるときはしっかり決めるんですよね。男として、そしてクリエイターとして。

テルアビブ・オン・ファイア、ワガママな演者に振り回されたり(彼女が才能を見出すわけだが)、対応が後手後手に回るうちに制約が増えてにっちもさっちもいかなくなってしまうあたりや、それでも作り手としてベストな着地点を探すんだって矜持は「アメリカの夜」や「カメラを止めるな!」を思い出す。

検問所のアッシが好き。権力に胡座かいた嫌味な男かと思いきや、意外にも単純で愛すべき性格の人間だった。特にドラマにたいして興味なかったくせに、脚本のアドバイスだけは的確なのが面白い。なかなかに緩い。しかし一方でイスラエルパレスチナの対立を知っているから、そこには常に緊張感がある。