「アニエスによるヴァルダ」感想
アニエスによるヴァルダ、みた。ヌーヴェル・ヴァーグを代表する作家、アニエス・ヴァルダが自らの人生を振り返る。写真家からキャリアをはじめ、映画製作、インスタレーションの発表まで、90歳になるまでつねに表現の手法を模索し続けたパワフルさにひたすら驚く。遺作であの幕引きは出来すぎてるよ!
創作は「ひらめき、創造、共有」が原点であると語るアニエス。彼女の作品は「幸福」と「5時から7時までのクレオ」を見ているけど、他にももっと見なくてはと。「冬の旅」が特に気になる。横移動の話が興味深い。平凡なものを見つめているうちに、そこに〈特別〉が現れてくるのだという話も面白かった。
この平凡にたいする目線って、作中でも紹介されていた「5時から7時までのクレオ」に通ずるなあと。行き交う人々の目線、主人公の背景に広がる生活、誰かが死んでも変わらず進み続ける世界の時間。クレオの憂鬱と対照的なまわりの反応が面白いのがあの映画だと思う。
アニエスのカラフルな世界を浴びながら、彼女ってひとつのテーマに固執するというよりは、豊かな発想力とひらめきで世界を広げていく人なのかな?と思った。一方で「昔から今までずっとフェミニストでした」とも。寝不足でちょくちょく意識が飛んでしまったけど、もっと彼女のことを知らなければ。