映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ジョジョ・ラビット」感想

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ジョジョ・ラビット、みた。最高!無邪気な10歳の少年・ジョジョにとってファンタジーでしかなかった戦争。しかし、屋根裏の少女・エルサとの出会いをきっかけに、現実が立ち現れてくる。これはラブストーリーだと思う。目の前にいる人と心から向き合えたら、戦争なんてくだらないと気付くはずなんだ。

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ドイツ訛りの英語でジョジョに話しかける〈空想上の友人〉ヒトラー。これ以上ないぐらいコケにしていて笑ってしまったが、時折ゾッとするような恐ろしさも見せる。ヒトラーの徹底的な道化としての扱いに、彼や彼が象徴する差別や憎悪に対するワイティティ監督の怒りを感じるのは、俺だけだろうか。

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「生まれながらにして肌の色や出身や宗教を理由に他人を憎む人はいない。憎しみは後から学ぶものであり、もし憎しみを学ぶことができるなら、愛することも教えられるはずだ」とは、ネルソン・マンデラの言葉。子どもは大人の言葉を素直に信じる。ジョジョユダヤ人憎悪も大人から刷り込まれたものだ。

子どもって覚えたての悪口とか使いたがるものだと思うんですよ。特に意味をわかってなくても。ジョジョの〈戦争ごっこ〉やアーリヤ人信仰の耳を塞ぎたくなるような言葉の数々も、結局大人の真似をしているに過ぎない。でも、直してあげないで放っておくと、本当にそういう思考回路になってしまう。

そういう意味で、戦時中にあっても良心を忘れず、お酒を飲み、オシャレを楽しんだり、踊りに興じたりするジョジョの母・ロージースカーレット・ヨハンソンは、素晴らしかった。彼女の目に宿る優しさはホンモノだ。息子の靴紐を結ぶためにしゃがむその動作に愛が詰まってる。

トーマシン・マッケンジー演じるエルサもよかった。苛酷な状況でも生きようとする勇敢さ。それでも心無い言葉を浴びせられて傷ついたり、怒ったり。心細そうな表情をしたり。ワイティティ監督のつくるキャラには血が通っている。キャプテン・K=サム・ロックウェルもそうだ。脇役に収まらない良さ。

そして何よりラストシーン。終わり良ければすべて良しの評価基準の俺にとって、これほど気持ちいいラストはない。間違いなく今後も語り継がれる作品になるのではないか。