映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」感想

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ザ・ピーナッツバター・ファルコン、みた。プロレスラーを目指すザックとはぐれ者漁師のタイラーの奇妙な旅を描く現代版ハックルベリーフィンの冒険。あくまで自由に、夢に向かって進み続ける二人がたくましい!個々のエピソードに掘り下げ不足も感じるが、切なくも爽やかな気持ちにしてくれる秀作。

しつこく追いかけてくる〈悪玉〉からの逃亡劇、船にぶつかりかけたギリギリの川渡り、神の愛について語る盲目の老人、南の果ての〈プロレス学校〉。振り返ってみると映画というより小説的。タイラーのキャラが最後まで掴めなかったり、全体で見ると意外に波乱も少なくて薄味なところは否めない。

ザックはダウン症の青年なのだが、彼のハンディキャップは〈プロレスラーになる夢を妨げる障害〉でしかない。それ以上の意味付けは極力排していて、タイラーやエレノアにそれぞれ悩みや後悔があることと同列に扱っている。〈ダウン症の人の映画〉なのではなく〈夢を追う者のロードムービー〉なのだ。