「ミッドサマー」感想

ミッドサマー、超絶大傑作！恋人とその友人に連れられ参加したスウェーデンの夏至祭で起こる恐怖を描く。これは喪失と救済の物語だ。真夏の太陽に照らされ、禍々しく輝く生と死、人と人の精神が調和した世界。だが、最後に訪れるのは…。人によるだろうけど、俺には胸の奥に鈍い痛みの残る映画だった。

表面的にはホラー映画のようだけど、本質は魂の救いを描いたブラックコメディというべきではないだろうか。真上から日光が降り注ぐゆえに、影もなく、明るく華やかなはずが、どこか人工的で不安を煽る村の景色。耳に馴染まないスウェーデン語にも落ち着かない。

目の前で繰り広げられる目を覆いたくなる凄惨な儀式。もうこんな地獄から一刻も早く逃げ出したい、早く帰してくれと。しかし映画は2時間半もある。この絶望はギャスパー・ノエの「CLIMAX」を思い出す。映画館で味わう時間の長さとその苦痛は、そのままスクリーンの中の人物の体験とリンクする。

多くの人が本作をヒーリング映画というが、はたして見た人みんなこれで救われるのだろうか。残念ながら、俺はその逆だった。肩こりをほぐそうとしてグルグル腕を回してきたら、うっかり筋がいってしまった…みたいな。思わぬツボを押され、エンドロールでは固まってしまった。最高で最悪の体験。