映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「初恋」感想

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初恋、超絶面白い!余命宣告を受けたボクサーが悪徳警官に食らわせた一撃のパンチから全ての歯車が狂っていく。逃げる葛城とモニカ、追うヤクザ、中国マフィア、警官…それぞれの〈上手くいかない〉が交錯する。破天荒な逃亡劇に興奮。復讐に狂うベッキーが最高。ひとりとして無駄なキャラがいない。

終盤のモッサリしたテンポ感や編集の詰めの甘さ?に不満はなくもない。印象的なカットがあるわけでもないが、俳優陣がみんな楽しそうに演じている(ように俺には見えた)。キャラが生き生きと夜の歌舞伎町から千葉の田舎道まで縦横無尽に駆けていく、それを見ているだけで楽しい。

窪田正孝の影のある色気と寡黙さに宿る頼りがいはもう言うまでもない。小西桜子は小動物的なか弱さ、線の細さが前田敦子を彷彿とさせる。染谷将太のガンギマリ顔、大森南朋のクソダサい小悪党感っぷり、内野聖陽の重量感、塩見三省の椅子の座り方で全てを語る存在感。そしてベッキーの悲惨な暴れ方!

最初から最後まで「何やってんのこいつら?」感があるのがいい。くだらない笑いもたくさんあって、ドタバタコメディの趣もある。「死ぬ気になれば」の暴走の先にある〈初恋〉とは何だろうか。あの一晩で起きたことを振り返った時、そこにはいろいろな〈初恋〉あったんじゃないかと思う。大傑作。