「もみの家」感想
もみの家、みた。心に不安を抱えた少女が農村の自立支援施設で成長していく様を描く。出会いと別れ、ひとの優しさに触れること、そして生命のサイクル。このテーマ設定の時点で自明ではあるが、思春期の鬱屈とした感情が〈田舎の美しい自然〉と〈ひとの温かみ〉で浄化する筋立てはどうも…。
とはいえ主演の南沙良はバツグンの素晴らしさ。うつむきがちな少女の役がよく似合う。勝手に放り出したお父さんに怒ったり、獅子舞の練習に汗を流したり、おばあちゃんに懐いたり。きょうだいのように応援したくなる。そして泣きの演技が毎回良い。とても美しい。今回は鼻水たらしませんでしたが。
サブキャラは全員記号的すぎる。もうちょっとどうにかならなかったのか。農村の自立支援施設という設定も相まって胡散臭さすら漂う。しかし、やはり「お母さんお腹を痛めて産んでくれてありがとう」は今どきどうなのか。別にその考えは否定しないけど、2020年に改めて描くべきテーマだとは感じない。