映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「コタキ兄弟と四苦八苦」全話感想

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コタキ兄弟と四苦八苦、みた。レンタル親父と行きつけの喫茶店の看板娘。個性豊かな依頼人との交感、そして終盤の驚きの展開。シンプルな構成ながら〈生きる苦しみ〉をユーモアたっぷりに描く。野木脚本の生真面目さと山下演出の脱力感、そして主演陣の自然体な演技が最高に心地よい空気を作っていた。

樋口可南子客演回がいちばん好き。死期を悟った依頼人とレンタル親父の他人ならではの距離感。寄り添いすぎると逆に鬱陶しいという切なさ。カリスマレンタル親父のエピソードでは親父のエンパワーメントを描いた。親父だって弱音を吐きたい。手軽に疎んでいい存在なんかではないんだと。

それからさっちゃんの昔の恋人、古滝兄弟のオヤジ。家族というしがらみにフォーカスした後半は野木節全開だった。しかし暗くなりすぎない。絶妙な間にプロの技を感じた。古舘寛治滝藤賢一の〈演技しない演技〉は良かったなあ。本作は二人がもともと芝居がしたくて立ち上げた企画らしい。

入れ替わりエピソードはその真骨頂だった。さっちゃん役の芳根京子もどんどん存在感を増して、最後は作品の欠かせない柱になっていた。短尺ながら見応えのあるドラマでした。続編希望。