映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ルートヴィヒ/神々の黄昏」感想

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ルートヴィヒ/神々の黄昏、みた。パラノイアに侵され非業の死を遂げた〈狂王〉ルートヴィヒ2世の生涯を描く。ワーグナーとの関係、エリーザベトに対する想い、そして豪奢なお城への散財…。王として失格の男であるのは確かだが、この未熟で繊細な男の人生はなんだったのだろう。可哀想な人だと思う。

ヴィスコンティの作品は「ベニスに死す」と「若者のすべて」を見たけど、正直それほどハマれていない。どれも長い。数々の試練からその人の本質をあぶり出していくのが彼の作品らしいけど、この終始曇り空みたいな雰囲気がどうにも。「ルートヴィヒ」は薄暗い宮殿の場面が多く、代わり映えしない。

この映画ではルートヴィヒがしょっちゅう説教されている。当初彼なりに信念はあったようだが、ワーグナーに利用され、片思いのエリーザベトには軽くあしらわれ、周囲からやいのやいの言われるうちに混乱し、なにが正解なのかわからなくなってしまったのだろう。そもそも王の器ではなかったのだ。

ルートヴィヒがワーグナーの件で神父から長々諭される場面は流石に可哀想で笑ってしまった。もうなにが悪いかわからないのに怒られている子どもみたいだ。パーティーで「俺お城つくる!」とか言い出して場を白けさせるのも…。終始異物みたいな扱いを受けている。酷い人生だと勝手に思ってしまった。

ラスト、ルートヴィヒを王子から引き摺り下ろそうとした勢力がお城に詰めかける場面の緊張感。あそこはやはり面白かった。しかしこれも遅すぎたのではないか、誰も幸せになれなかったなあと。4時間は長かったけど、たしかに見応えはある。