映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」感想

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破、みた。超絶大傑作!このシリーズって、追い込まれるシンジ君たちにもっと酷い目にあってくれと願う嗜虐心と、さらなる絶望を期待する破滅願望とがせめぎ合い、その限界を突破した時の爆発力がたまらなく気持ちいいなと思う。学園ラブコメから神話へ。落差がたまらない。

暴走する初号機がアスカごとエントリープラグを噛み砕き、シンジ君が絶叫する時、吐き気を催す絶望と同時に、これだよこれこれっていう気持ち良さがあった(共感してくれるかわからないけど)。「シン・ゴジラ」で、ゴジラが東京を蹂躙して首相を乗せたヘリを消滅させた瞬間の高揚感に似ている。

「世界が終わる瞬間をこの目で見たい」みたいな感情。頻繁に発動する政府の非常事態宣言。NERV本部まで使徒が入り込んでくるところなんて最高ですね。夕日とSFのアンバランスな融合は実相寺昭雄的。ミニチュア特撮風の街破壊描写や遠近法の使い方もこだわりを感じて好き。

シンジ君とゲンドウの予感、綾波とアスカを呼んでの食事会。テレビシリーズからの分岐が宣言された序盤から、ついに希望が…と思わせてからの落差!「そっか、私、笑えるんだ」からのあれ。「まごころを、君に」の感覚が蘇る。一方で救われるのが綾波。シンジ君の手を握って、彼と一つの存在になる。

彼だけがエヴァパイロットであることに疑問を感じている。誰からも認められないまま、世界を救うために最前線に送り込まれる。しかし、究極のエゴと内的な願望、世界より君がいいという選択によって、彼は神に近い存在になる。孤独からの解放を望んだ少年は世界を救ったのか、それとも壊したのか。