映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから」感想

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ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから、みた。アメフト男子ポールのために恋文を代筆するエリー。しかし彼女は手紙の相手のアスターに恋をしていて…。とても爽やかな後味だった。最後にエリーの眺める景色がすべてなのだと思う。もう「出口なし」じゃない。はじめから道の先に答えはあったのだ。

自転車に乗って逃げるエリー。ポールは走って追いかける。やがて追い付き、ふたりは横並びで語り合う。他者と歩調を合わせ、同じ景色を見るということ。彼らは古びた電車に恋の作戦を書き足していく。すぐそばで電車が走り、線路がずっと先まで伸びているのに。同じ場所にとどまる限り世界は開けない。

彼らの関係性と置かれた場所は常に同期している。温泉に浸かるふたりの少女も象徴的。半分だけお湯の上に出た顔と、水面に反射して揺らめく顔。半分ずつ。合わさってひとつ。たしかに〈もう半分の自分〉が見つかったら心地よいかもしれない。けど、足りないものをかき集めて埋めるのは愛ではないと。

カサブランカ」のラストは飛行場。「俺たちの友情は…」で締めくくる。エリーとポールとアスター。彼らの人生も〈面白いのはこれから〉なのだ。新海監督「君の名は。」と「天気の子」は出会い(というより再会)で終わる。2作とも〈片割れ〉を見つける物語。

俺は瀧と三葉、帆高と陽菜はどちらもあの後うまくいかないと思ってる。だってあれは恋の初期衝動の話だから。いますぐ走り出して手を取りたいと暴れる男の子の世界。いきなり話が飛んでしまったけど、「ハーフ・オブ・イット」の3人をみて思い出したのはそのこと。恋のゴールは結ばれることじゃない。