「少女邂逅」感想
少女邂逅、みた。紛れもなく〈痛覚〉の映画だった。紬はミユリを君と呼ぶ。親友のようでいて名前は呼ばない不思議な距離感が面白い。紬は蚕のそのものだった。美しい布を織る為に生きたまま茹でられ死んでいく。ミユリは紬を殺して得た羽で箱の外へ飛ぶのだ。でも、蚕だって熱湯の中で苦しんでいる。
節々に岩井俊二を感じる。というか、かなりを影響を受けている。「花とアリス」ラストのの蒼井優を思い出した。ありがちな青春映画のパッケージだが、独特の空気感がある。これを23歳で撮った枝優花監督はすごい。すでにこれ一本で自己紹介になっている。よく知らなくてもこれを見れば枝優花がわかる。
言い切っていいか分からないけど、ミユリはいじめっ子と同じ側の人間だったんだろうなあ。虫は痛覚がないからって納得すれば熱湯にさなぎをほうり込める人。たぶん俺はこっち側だと思う。けど、自分が蚕になる可能性だってある。人と人の関係には痛みが伴う。その感覚は無視できないはずだ。