映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ブラック・レイン」感想

f:id:StarSpangledMan:20200618215344j:image

ブラック・レイン、みた。超絶大傑作!NYの刑事が大阪府警と手を組んでヤクザを追う。いや〜、最初から最後まで面白かった。はじめは傍若無人だったニックが、試練を経て実直な刑事・松本と絆を育んでいく…。高倉健の助演は見慣れないけどやはりスターですね。マイケル・ダグラスとの並びの華々しさ!

松田優作は言わずもがな。ウェズリー・スナイプスブレイドみたいな風貌でブルックリンの精肉工場から大阪の街中まで縦横無尽に暴れまわる。セリフはほぼないが、アメリカの黒い雨=ブラック・レインが生み出した孤高のアウトローとして強烈な印象を残す。ウルトラ・ファイトさながらの泥んこ遊びも笑

最近は悪役多めのアンディ・ガルシアもこの頃はちょっぴり悪の甘いフェイスのイケメン。若山富三郎内田裕也ガッツ石松などニッポンのイカツイおじさんたちが画面の中でギラギラ光ってる。「ブレードランナー」を撮ったリドリー・スコットだが、大阪を舞台にまた少し違った日本の姿を見せてくれる。

マイケル・ダグラスも日本人目線だと本気でムカつく嫌らしさ笑 「これがNY警察のやり方なんだよ」って、おまえ最初に大ポカやらかして佐藤逃してるじゃん!なかなかの横柄っぷりに、そりゃ大阪府警もキツい態度とるでしょって思っちゃうんだけど。はじめは子守役同然の松本=高倉健

ニックが彼を対等の存在と認識してから、劇中での高倉健が輝き始める。東映映画で見る彼は脂ぎっててそんなに好きではなかった。けど、やくざなニックとの対比によってその寡黙さにチャーミングな意味が加わり、よりスマートにカッコよく見えるのだ。「佐藤を捕まえる」その一心で敵陣に殴り込む!

「俺も箸上手くなっただろ」からの別れの挨拶、惜別のプレゼント。多くは語らない男二人の友情。いまどきちょっと照れ臭くなるぐらいロマンチックな終わり方だけど、これが80年代末のギラついた空気感もあいまって、非常に味わい深いんですよねえ。期待してなかったけど超お気に入りになりましたよ。