「くちびるに歌を」感想
くちびるに歌を、みた。東京から音楽教師として赴任したピアニスト。沸き立つ生徒だったが、彼女には暗い過去があり…。事情を抱える先生と生徒が歌をとおして絆を育む過程は〈教科書通り〉だが、やり抜くのも逆に難しいと思う。「マイバラード」が好きなので良い使い方してくれて嬉しい。これぞ合唱!
2時間12分はちょっと長い。2時間以内に収めてくれれば…。生徒たちのサイドストーリーが前面に出たり後退したり…柏木先生がメインではあるのだが。恒松祐里と葵わかなが出ている。恒松祐里はパジャマ姿でベッドをゴロゴロしながら友だちに電話するのが様になる。あのリラックス感はすごいよ。
自閉症役の渡辺大知。「寝ても覚めても」や「ギャングース」のキャスティングの元ネタはこれか?やはりこの人は芸達者だ。桐谷健太の暑苦しい体育教師もっと見たかったな、木村文乃が珍しくふつうに幸せそうだな、とか。5年前の映画なので配役にも見所がある。そしてなにより主演の新垣結衣!
〈あの夜〉以来、ピアノと本格的に向き合い、ついに始まりの汽笛を鳴らした柏木先生が、その演奏を聴いて駆けつけた生徒たちに囲まれながら、「私がピアノを弾く意味」を思い出す場面。カットが切り替わる直前にその目に宿った光を見逃さなかった。この後から彼女の表情が変わる。素晴らしい演技!
中学生当時は合唱なんてめんどくさいものやらせやがってと思ってたけど、大人になって振り返ってみると、悪くなかったかもなあと思ったりもします。聴くのが楽しい。みんな声が未完成で、男子の声変わり前の無理してる感じとか。使い方はアンジェラ・アキ「手紙」より「マイバラード」の方が合唱的。
五島の景色がよかったですね。広い青空と海、さわやかな緑。青春!写真の場面は「サウンド・オブ・ミュージック」もしくは「二十四の瞳」でしょうか?