「水曜日が消えた」感想
水曜日が消えた、みた。面白かった!どうせテレビ局幹事のオリジナルサスペンスなんて…とタカくくってました。「スプリット」かと思いきや「ビューティー・インサイド」。事故がきっかけで7つの人格に分裂してしまった「僕」の中から「水曜日」が消えてしまい…。中村倫也劇場開演の後半にしびれる。
石橋菜津美と中島歩。ふたりの助演が光る。すごく良かったので名前覚えました。基本的に「僕」の家と図書館で物語は完結する。そのスケールの小ささが良い。この題材だと欲張って大事件を起こしたり、ハデなどんでん返しを用意したくなりそうなものだけど。〈気になるあの人〉が軸なのが慎ましい。
割れたサイドミラーに映る鳥がヒビに沿って分岐していく掴みに始まり、7人の「僕」が並べた洗面所の歯磨き、コップ、仕事机…と、彼なりの生活が提示されるオープニングが楽しい。あと「僕」の家の前の坂道!「天気の子」の陽菜さんの家みたい。町を一望する丘の上からの景色と、人物の表情が良い。
あとやっぱ深川麻衣は良い。パン屋とか図書館の司書とか、そういうのが似合います。中村倫也は「伊藤くん A to E」や「オズランド」のヘタレ感から「凪のお暇」のマイルドオラオラ系まで役の幅が広いが、どれも〈中村倫也〉なのである。その俳優〈中村倫也〉の豊かさがしっかりこの映画にはある。
日替わりの「僕」を受け入れる友人に、寝て起きたらあの人に会えない…といった焦りや悔しさ、それから映像の質感など「ビューティー・インサイド」の影響を感じる。これが単なる気のせいなのかは作った人に聞いてみないとわからないけど。ただリビングの間取りがつまらないなと思った。配置が微妙…。