映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「マティアス&マキシム」感想

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マティアス&マキシム、みた。試写会にて。ドランの映画ってなぜこうも痛々しく抉られるのだろう。彼らの感情は、恋と呼ぶには穏やか過ぎ、かといって肉欲というほど野性的でもない。しかし「荒荒しくあの唇を奪いたい」という衝動もたしかにある。あの満たされなさ、なんて呼べばいいんでしょうねえ。

グザヴィエ・ドランの原点回帰的作品なのではないかと思った。ここ2作は「カナダの田舎でくすぶる青年」の物語から離れていたが、またこちら側に帰ってきた感じがする。殻を突き破れない閉塞感や母親との関係性は繰り返し描かれてきたテーマ。ドランって純度の高い作家だなと思う。

オンライン試写会だったのでPCで見たけど、ハッと息を飲む美しいシーンがいくつもあって、これはスクリーンで見るべきだと。ドランって身長170cmもない。その小柄な感じが(といっても俺と同じぐらいだけど)、いつも不安そうな子犬フェイスと相まって切なさを誘う。彼は自分の可愛らしさをわかってる。

誰かに想いを寄せているときのドキドキする瞬間。彼らは友だち同士だけど「あ、いま二人きりだな」とつい意識してしまうもどかしさ。三十路の男ふたりの初々しさよ!振り返ってみると美しい場面がたくさんあった。ぜひ映画館で見てください!感想おしまい。