「僕の好きな女の子」感想
僕の好きな女の子、みた。いやぁ…きつかった…。俺もあの場に居る気がした。加藤と美帆の漫才みたいな掛け合いはものすごく又吉直樹っぽい。友人たちで戯れ合うダーツや宅飲みは「あの日々の話」の後日談のよう。日本で1日1件は起きてそうなミニマムな物語だが、ゆえに自分の体験と重なる…傑作!
美帆はファムファタールなのだろうか。そして加藤はただの「いい人」なのだろうか。友だち同士の関係を崩すまいと好意を抱きながら一歩踏み出せない加藤。諦めと甘えの間で現状維持を望む彼の弱さを責めることは簡単だけど、まあ、なかなか難しいですよね。美帆もあれでもし自覚ないなら罪な人だなあ。
美帆はある意味で「理想の女の子」通りのわけで、やり過ぎると妄想でしかなくなってしまうのだけど、奈緒の空気感がそこをリアルに肉付けしている。あのラストの目が凄かったなあ。見覚えある…。ピリッとスパイスをぶっ込んでくる萩原みのりはさすが。どの映画でも違う表情を見せてくる。
「愛がなんだ」と対置できる映画だと思う。こっちは体感的に女性の共感を呼んでいたようだけど、「僕の好きな女の子」を見てどういう感想抱くのかは気になる。逆に男はこっちの方がしっくり来るのではと思ったりもするのだけど、どうなんでしょう。「あの日々の話」のメンバーによる掛け合いの空気感!
あそこの距離感はすごくよかった。ドキュメンタリー見てるみたいに生々しい。特に中身のある会話ではないが、それぞれの立ち位置やキャラクターがふわっと分かる。無限に見られると思った。井の頭公園のボートは意地悪笑 あのラストは好意的に解釈している。彼もまた大人になったということだろう。